若手クリエーターが日本の魅力を再発見し世界へ発信するCMコンテスト「my Japan Award 2013」の結果発表式が12日2日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)のヒカリエホールで開催された。最終優秀賞には、長野・小布施の魅力を伝えた作品「楽しいから、住んでる『小布施』」が選ばれた。
CMディレクター・中島信也さんから表彰され、笑みをこぼす受賞者
同アワードは2010年、当時学生だった岡本俊太郎さんを中心に学生ボランティアで組織されスタート。「日本の価値を外国人に伝えること」を目指し、学生など若いクリエーターに向けて「日本の魅力を伝える映像作品」を公募し最優秀賞を決定するもの。昨年までは学生限定のCMコンペだったが、4年目を迎えた今回からは新たにU29部門(29歳以下の社会人)の枠を加え、若手クリエーターを応援するイベントに規模を広げた。
今年のテーマは「世界の若い人に紹介したい日本の“まち”」。30秒以内の映像作品を募集した結果、学生部門81作品、U29部門33作品の応募があった。審査員には東北新社・中島信也さん、PARTY・伊藤直樹さん、すき あいたい ヤバい・箭内道彦さん、博報堂ケトル・木村健太郎さんら8人で、1次審査を経た最終選考58作品の中から最終優秀賞(1作品)・優秀賞(2作品)ほか、審査賞、Shibuya賞などが発表された。
最優秀賞に輝いたのは、映像ディレクター・伊納達也さん、プランナー・長嶋太陽さんが手掛けた「楽しいから、住んでる『小布施』」。長野・小布施町に移り住む多様な人々のインタビューを通し、楽しそうな暮らしぶりを伝える。審査員は「出演者みんなが生き生きし、いい顔をしていた。まちを紹介するには、そこに住んでいる人たちにとっていいまちが一番だと感じた」(中島さん)、「小布施マラソンに出場したことがあり、本当に大好きなまち。作品を見て、あらためてこんな人たちがいるなら行きたい、住んでみたいと思った」(伊藤さん)と高く評価した。
「渋谷」を舞台にした作品では、渋谷の街に書き記された落書きやメッセージを拾った作品で、優秀賞に輝いた「my voice」(東京経済大学・阿部菜々子さん)が優秀賞に選ばれた。阿部さんは「応募締め切りの3日前まで何も浮かばなかった」と短期間での作品づくりを明かす。それに対し、審査員・中島さんは「計画性、作戦のないところが学生らしい良さ」と評した。
そのほか、「渋谷・のんべい横町」にやってきた外国人が「はしご酒」しながら、店主や客と仲良くなる作品「BAR HOP NONBEI-YOKOCHO」(東北新社・藤井麻王さん)がShibuya賞に、グラフィティアートなどを通じて渋谷の楽しみ方を教える作品「I SPY @SHIBUYA」(桜美林大学・橘内友裕さん)が木村健太郎賞に、それぞれ選ばれた。
今年から新たにU29が加わったことに伴い、最優秀賞に輝いた「楽しいから、住んでる『小布施』」を企画した長嶋さんをはじめ、電通や東北新社などのプロの若手クリエーターの参加が目立った。審査を務めた伊藤さんは「U29が加わり、過去の大会の中で一番レベルが高かった」とし、「日本のまちの数だけCMがあってもいい。自分もまちのCMを作りたくなった。さらにmy Japan を拡大してほしい」とイベントの継続を後押しした。
最優秀賞に賞金50万円、優秀賞に10万円が贈られたほか、最優秀賞、優秀賞、Shibuya賞の作品は、渋谷スクランブル交差点の大型街頭ビジョン「Q'EYE」で上映される。公式ホームページからユーチューブでも視聴できる。