自分らしいオリジナルの肩書を自分の肩に書いて残す企画展「カタガキプロジェクト」が現在、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)8階のギャラリースペース「Cube」で開催されている。新しい働き方を考えるイベント「TOKYO WORK DESIGN WEEK 2013(略称=TWDW2013))」の一環。
仕事の多様化につれ、名刺に書かれた従来の「仕事の肩書」は、その人を的確に言い表すものではない部分も広がっている。自分を深く見つめ直し、自らの肩に自分らしい「オリジナルの肩書」を書いて残すことで、TWDW2013のテーマ「新しい働き方」を見い出すきっかけを提供する。
アイデアの発端について、同展を企画する映像プロデューサー・本間綾一郎さんは「僕の本業は映像制作だが、自分が何をやっている人間なのかを突き詰めていくと、プロデューサーである僕が担っているのはモノづくりをするきっかけを作ること、要するに人に『お声掛け』することが僕の仕事の神髄。それが自分の肩書であることに気付いた」と話す。「『肩にカタガキを書く』というだじゃれではあるが、この体験を通じて多くの人たちにも自分の事を考えるきっかけにしてほしい」とも。
会場では、本間さんらスタッフがカウンセラーとして常駐し、対面式で参加者と向かい合いながら「カタガキ」を一緒に考える。出てきたオリジナルのカタガキを参加者の肩にフェルトペンで書き、その場でスマートフォン撮影。すぐにプリントアウトし、「カタガキ写真」をギャラリーの壁に掲出していく。
「音楽狩人(サウンドハンター)」「テクノロジーピカソ」「背中押し子」「クリエイティブ型学級委員」など、すでに会場には130人以上の思い思いの「カタガキ写真」が展示されている。同展開催の2週間ほど前から、渋谷周辺の路上やコワーキングスペースで参加を呼び掛けてきたという。これまでの参加者は15歳の高校生から75歳まで。日本人以外に外国人も含む。
「年齢が高い人は、人生経験が豊富で自分の『座右の銘』のようなものが決まっている。そのため、紙を渡すとすぐに自分のカタガキを書き込む人が多い。ところが若い学生さんは、まだ自分の可能性を探し模索している人も多いので考えて込んでしまう。中には1時間かかった人もいた」と本間さん。
期間中、壁一面を「カタガキ写真」で埋め尽くすことを目標に、計250人以上のカタガキづくりのサポートを目指す。同プロジェクトを通じて「参加者一人一人の言葉を拾い上げていくと同時に、全体を通して『人と人をつなぐ』『シェアする』など、今の時代の東京らしい働き方や生き方みたいなものが何となく見えるのでは」と期待を込める。
参加無料で事前予約も不要。腕をまくることができる服装での参加を呼び掛ける(会場ではTシャツ、着替えスペースの用意も有り)。11月25日まで。