東急東横線渋谷駅が3月16日0時51分の下り最終列車の出発をもって営業を終了した。
営業最終日となった15日は、朝から現役最後の姿を記録しようと多くの人が駅に詰めかけた。夜になり帰宅する人たちも増えると改札の外も中も多くの人でごった返した。警備員や駅係員は「立ち止まらないでください」「押し合わずゆっくりお進みください」など声を張り上げ、注意を呼び掛けた。東急電鉄はこの日、警備員・駅など約200人体制で警備に当たった。
下り最終列車となった元住吉行きは0時44分発を予定していたが、自由が丘駅で非常ベルが鳴らされたため、7分遅れて51分に渋谷駅を発車。鉄道ファンなどから「ありがとう」の声が上がる中、代官山方面へ姿を消した。
続いて、0時49分到着予定だった元町・中華街発上り最終列車が5分遅れて54分に到着。その2分後、同列車は回送列車として同駅を出発し全てのホームから車両の姿が消えた。その後、構内に「本日の営業は終了しました」のアナウンスが流れ、徐々に人影も消えた。改札の外では、同駅係員が描いたイラストを基に作ったポストカードを利用客に配った。
通勤で東横線を利用する高瀬香織さん(26)は友人2人と最後の姿を見に訪れた。「(営業終了は)寂しいが、普段使っている駅がこんなに注目されるとは思わなかった」と話す。神奈川県内で公務員として働く佐田康信さん(29)は「埼玉の方が横浜方面に来やすくなるので経済効果に期待している」とも。副都心線沿線に住んでおり、横浜・みなとみらい方面によく遊びに行っているという藤野佑子さん(27)は乗り換えなしで行けることになるため「うれしい」と笑顔を見せた。
同駅は1927(昭和2)年、渋谷~丸子多摩川(現「多摩川」)間の開通に伴い開業。現在の駅舎は改良工事を経て1964(昭和39年)に竣工した。営業終了後、今月26日から、イベントスペース「SHIBUYA ekiato(エキアト)」として5月6日まで活用することが決まっている。