JR東日本が9月3日、山手線車内でWi-Fi車内情報提供サービス実験「山手線トレインネット」を始めた。
ICT(情報通信技術)を活用した車内サービスの向上を目指した研究開発を進めている同社は現在、スマートフォン向けのサービスとして、列車に乗車中の利用客に現在位置に応じた運行関連情報や沿線情報などをリアルタイムに配信するシステムを開発している。今回の実験は、昨年秋に行った実験に続く第2弾。より実用化を意識した内容で実施し、評価・検証を進める。
期間中、同社フロンティアサービス研究所が設計・試作した、「車両内でのパーソナルな情報提供システム『infoPiC』」を山手線2編成に搭載し、同システムによる情報提供サービスを試行。システムが搭載された列車の乗客が、手持ちスマートフォンでサービスを利用できる。
昨年の実験に比べ、今回の実験では「トレインネット」利用中にもインターネット接続が可能となる。併せて、提供するコンテンツの充実を図るほか、画面デザインの改良を行い、使いやすさの向上を図った。
配信する鉄道関連コンテンツは、首都圏各路線の遅延や運転見合わせ情報などの「運行状況」、停車駅一覧と各駅までの所要時間、各駅のホーム設備や乗換路線を案内する「駅・乗換案内」、各号車の乗車率・車内温度を示す「車内状況」。マーケティング関連情報では、みんなの経済新聞ネットワークの山手線沿線10エリアが配信する「沿線ニュース」、コミック・小説、駅ナカ店舗のキャンペーン情報やクーポン、車内ポスターと連動した広告、JR 東日本のイベント情報など。
利用方法は、専用アプリ「山手線トレインネット」をスマートフォン(iPhoneまたはAndroid)にダウンロードした上で、システムを搭載した山手線に乗車。車内でアプリを立ち上げ、所定のWi-Fiネットワークに接続することで利用できる。現在は1編成でサービスを試行しているが、11月上旬からはもう1編成が加わり2編成での試行となる。該当する山の手線実験車両の現在位置は、アプリのほかPCでも確認できる。アプリは無料。
同社では、利用者へのアンケートや利用状況調査、システムの動作検証などを通じて、提供するサービスの内容とシステム構成を評価し、今後の実用化を目指す。実験は2013年1月中旬まで。
同日、JR東日本企画(渋谷区恵比寿南1)が「山手線トレインネット」と連動して、山手線の駅を中心としたスマートフォン向けの情報提供サービス「山手線エキナカネット」の試行を始めた。鉄道関連情報、マーケティング関連情報のほか、駅ナカ関連情報やクーポン情報、駅周辺の店舗情報、沿線ニュースなどの駅関連情報も配信する。現在はAndroidのみに対応しているが、iPhoneへも近日中に対応する予定だという。