日本スポーツ振興センター(新宿区)は7月20日、国立競技場(正式名称=国立霞ヶ丘競技場・陸上競技場)の建て替えに向けた基本構想デザイン案の国際公募を始めた。
2020年のオリンピック・パラリンピック招致に立候補している東京都は、第一次選考のために提出した「申請ファイル」で、国立競技場をメーンスタジアムに開・閉会式、陸上競技、サッカー、ラグビーの会場として機能することを計画。しかし、老朽化・収容人数などの問題から整備の必要があり、新国立競技場の建設に踏み切る。同所は2019年に開催が決定しているラグビー・ワールドカップンメーン会場となる予定。
1924(大正13)年に国内初の本格陸上競技場として建設された「明治神宮外苑競技場」が前身となる現在の国立競技場は1958(昭和33)年に完成。1964(昭和39)年の東京オリンピック開催時には主会場として使われた。敷地面積は7万1707平方メートル。収容人数は5万4224人。
新国立競技場の敷地面積は約11万3000平方メートル。施設建築敷地には日本青年館や明治公園も含まれており、いずれも取り壊し移築などを計画。「世界水準のホスピタリティ機能」を備えたスタジアムとして、バリアフリーをはじめ、VIP・ロイヤルファミリー向けの席、インフラの設備を整えるほか、開閉式の屋根を採用。コンサートなど文化的な活用を考慮した「多機能型スタジアム」を目指す。収容人数は8万人に拡大。スポーツ博物館、飲食・物販施設も設ける。
応募資格は一級建築士事務所、国外はデザイン競技の対象となる建築物の設計監理事務を行う資格を持つ企業。なおかつ、高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)、プリツカー賞など「国際的な」建築賞の受賞経験があること、収容定員1.5万人以上のスタジアム基本設計や実施設計の実績が必要。応募は9月25日まで受け付け、一次・二次審査を経て11月下旬に結果発表を予定。基本構想デザイン案に採用する最優秀賞には賞金2,000万円を贈る。
審査は、建築家・安藤忠雄さんを委員長に、青山学院大学教授の鈴木博之さん、日本サッカー協会名誉会長の小倉純二さん、作曲家の都倉俊一さん、英建築家のリチャード・ロジャースさんらの委員が行う。
決定後、2013年4月~2014年3月に基本設計を、同4月~2015年3月に実施設計を、それぞれ行う。現競技場は2014年7月~2015年10月に解体し、新しい競技場の建設工事は同10月~2019年3月を予定。総工事費は解体費などを除いて1,300億円程度を見込む。