旧東急文化会館(1956-2003年)の映画館「渋谷パンテオン」に掛けられていた近代建築の巨匠ル・コルビュジェの緞帳(どんちょう)が、7月18日に開業を迎える「東急シアターオーブ」(渋谷ヒカリエ11階)センターホワイエに設置され、10日の開業式典で公開された。
渋谷パンテオンを飾った大緞帳は、五島慶太東急電鉄初代会長から設計を任された建築家・坂倉準三が、師であるル・コルビュジェにデザインを依頼したもの。コルビュジェの原画を基に、日本の伝統技法である西陣織で製作され、「闘牛14号」と名付けられた。当時のサイズは、縦9メートル50センチ、横22メートル80センチ。
公開されたのは、当時と同じ西陣織の技法で5分の1サイズに縮小して作られたもので、サイズは縦2メートル、横4.8メートル。「文化の伝統・伝承を大切にしながらも、現代の建築にマッチさせ、作品の魅力を最大限に再現しよう」という製作方針をコルビュジェ財団と共有し、当時の大緞帳製作も手掛けた川島織物セルコン(江東区)の伝統工芸師が中心となり、分析から製作まで緻密な作業を繰り返したという。
同社では「東急文化会館のDNAを渋谷ヒカリエへ受け継いでいく」としている。