原宿「Audi Forum Tokyo(アウディフォーラム東京)」(渋谷区神宮前6、TEL 03-5464-7211)で11月22日から、写真家・篠山紀信さんの写真展「ATOKATA」が開催される。前日の21日、会場に篠山さんが姿を見せた。
東日本大震災の写真集「ATOKATA」(日経BP社)発刊に合わせ開催する同展。篠山さんは土木専門誌「日経コンストラクション」の不定期掲載コラム「現場紀信」の企画として、5月1日~3日、同月末、8月末の3回にわたり、宮城県を中心とした被災地に足を運び撮影してきた。同書にはその間に撮影した被災地の写真約100点、肖像写真約20点を収録している。
同展では、その中から被災地の写真32点を展示。同書の表紙に使った写真に関し、雑誌「アサヒカメラ」(朝日新聞社)でその写真を発表した際、同誌編集部に「私の家の前だ」という連絡があり、「将来のために風化させないように(その写真が)欲しい」と言われ、送ったエピソードを披露。「すごくうれしく、撮ったかいがあった」という。
最初被災地に訪れた際の印象を「地球の重力が無くなっている状態」と振り返り、「自然が自然を破壊し新しい自然を創造した。畏怖と畏敬という気持ちになった。ご覧になった方々も『美しい』と感じるのでは。被災者の方々への哀悼の気持ちは本当にあるが、ちゃんと立ち向かうと、こういう写真にならざるを得なかった」と篠山さん。
「人生何が起こるか分からないということをよく分かっておいた方が良い。不条理なことは一瞬で起きる。生きているだけで奇跡的なことなので、生きていることを大切にすべき。自信とパワーを教えてくれる写真だと思う」と話した。
開催時間は10時~19時。入場無料。12月15日まで。