表参道交差点そばの「山陽堂書店」(港区北青山3、TEL 03-3401-1309)内のギャラリーで現在、メンズブランド「VAN」創業者・石津謙介の写真展「石津謙介 生誕100年展」が開催されている。
1981(明治24)年創業の山陽堂書店は、外壁に画家・谷内六郎の壁画があることでも知られる。今年120周年を迎えたことを機にリニューアルし、それまで倉庫などとして使っていた2階・3階部を新たに「ギャラリー山陽堂」としてオープンした。石津が青山にゆかりがあることや、同店創業者・萬納孫次郎と同じ岡山県出身であったことなどから、「戦後の青山は石津さん抜きでは語れない」と店側から打診。1年半ほど前から構想を練っていたという。
1911(明治44)年岡山県生まれの石津謙介は1951(昭和26)年に独立し石津商店(後のヴァンジャケット)を設立。1957(昭和32)年にブランド「VAN」からアイビーファッションを発表した。1960年代には、「ホンコンシャツ」と命名した半袖ワイシャツが流行したほか、「VAN」ブランドが提案したアイビー・ルックは若者の間にブームを呼び、「みゆき族」を生み出した。ファッション誌「男の服飾」(後の「メンズクラブ」)の創刊や「TPO」という言葉を作ったほか、青山にイベントホール「VAN99ホール」を開設したり、アメリカンフットボールの普及に努めたりするなど幅広く活躍。2005年、93歳で亡くなった。
生誕100年記念事業の一環で開く同展。会場には雑誌のピンナップなど40点以上の写真のほか、プライベート写真、石津さん直筆の生原稿、石津さんが残した言葉などのほか、マイク眞木さんやピーコさん、コシノジュンコさん、佐山一郎さん、平田暁夫さんら著名人から宛てられらメッセージも並ぶ。
石津事務所の石津塁(るい)さんは「ここ2・3年、偶然にも世界の中でもアイビーファッションがトレンドになっている」とし、「次世代に継承するという意味ではリアルな場所で展開するのは、特にメンズファッションにはヒントになると思う。業界の活性化につながれば」と話す。「彼が遺(のこ)し、貢献したものを再認識してもらえるのでは」とも。
開催時間は11時~19時(最終日は18時まで)。日曜・祝日定休。入場無料。11月7日まで。