渋谷・井の頭通り沿いの「リーバイスストア渋谷店」（渋谷区宇田川町、TEL 03-5456-9657）で10月13日から、世界に現存する「最古」のジーンズ「XX c.1879」が一般公開される。

ロットナンバー「501」が初めて使用されたモデル「BARNYARD c.1890 501XX」

　「OVERALLS-THE ORIGIN-」と題した企画で展示されるもの。米サンフランシスコのリーバイ・ストラウス本社の耐火性アーカイブ（公式保管庫）に保存されているビンテージ・ジーンズコレクションの中で、「最も古い」同ジーンズのほか、米ネバダ州の炭鉱で発見された「NEVADA 1880s」、ロットナンバー「501」が初めて採用された「BARNYARD c.1890 501XX」の3本を期間限定展示する。

　製造された1879年当時、「最も高いクオリティー」を意味する産業用語である「XX（ダブルエックス）」から名付けられた「XX c.1879」。バックポケットは一つのみで、フィットを調整するためのシンチやサスペンダーボタンが付いている。ビンテージ衣料のディーラーによってリペアされたもので、2003年にリーバイ・ストラウス＆カンパニーが買い取った。ロットナンバー「501」は1890年ごろに付けられたもので、「XX c.1879」が501のベースになったモデル。現在は15万ドル（1ドル＝77.015円換算で1,155万2,250円）の値がつけられている。

　1980年にネバダ州の鉱山都市で発見された「NEVADA 1880s」は、2001年にeBayオークションに出品されていたものを同社が4万6,521ドルで落札したが、実際にどこで誰が発見したかやオークション出品者は分かっていない。左腿には折り畳み式の定規を常備するための「スケールポケット」があしらわれているなどのディテールから、501とは別のモデルのワークウエアだと判断できるという。当時の呼び名やスタイル番号が分かっていないことから、発見された州名にちなんで命名された。

　「BARNYARD c.1890 501XX」はカリフォルニア公郊外東部にある廃家で発見され、1998年に同社が発見者から1万5,000ドルで買い取った。バックポケット「アーキュエットステッチ」や「ツーホース・レザーパッチ」、シンチ、サスペンスホルダーなどが付いている。

　一般公開に先駆け12日に行われた報道陣向け先行公開に、リーバイ・ストラウス本社ヒストリアン（歴史家）で保管庫の責任者リン・ダウニーさんとリーバイ・ストラウス ジャパンの齋藤貴社長が登場。バイヤーの意向から「XX c.1879」の発見された場所やもともとの所有者は分かっていないが、ダウニーさんは膝裏のしわの寄り方や裾の開き方がカウボーイブーツ形状であることから、「カウボーイが履いていたと想像している」という。1906年のサンフランシスコ大地震により本社が倒壊し、501やそれ以前の資料全てを消失している同社。「ルーツという意味や、現在のデザイナーのインスピレーションという意味でも買い戻すことを大切にしている」とし、「（渋谷は）デニムを展示するには良い場所。若者もそうだが、どの世代もデニムになじんでいるし、身近なものだから」と話す。

　「XX c.1879」を「ものすごく見たかった」という齋藤社長は「130年以上たっているのに今見ても違和感がない完成度で力強さを感じる。これを基にデニムが生まれ、みんながこぞってまねをしたルーツ。本物の持つ力やオーラを感じてほしい」とし、「リーバイスジーンズをスタイリッシュに格好良く着てほしい」とも。

　ジーンズは店舗内にショーケースに入れて展示するが、いずれも「世界に1つしか」存在しない貴重なものであることから、セコム（神宮前1）が警備を担当。独自に開発したショーケースへの妨害を防ぐ防犯合わせガラス、過度な近寄りを監視する「レーザーセンサー」などのセキュリティーシステムのほか、同社の警備スタッフが常駐する。

　展示時間は11時～21時（「XX c.1879」のみ、13日・14日＝17時～20時30分、15日・16日＝13時～17時のみ）。今月16日まで（「BARNYARD c.1890 501XX」は23日まで）。