道玄坂に新劇場「シブゲキ」-シネセゾン跡に現場の声を反映した舞台

舞台監督らの声を反映し創り上げた劇場内

舞台監督らの声を反映し創り上げた劇場内

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 渋谷・道玄坂の商業施設「ザ・プライム」(渋谷区道玄坂2)6階に9月9日、劇場「CBGKシブゲキ!!」(TEL 03-6861-7733)がオープンした。運営は芸能プロダクションのキューブ(東3)。

俳優・古田新太さんをモチーフにした劇場のスーパーマスコット「ふるちん」

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 アーティストマネジメント、演劇・映像制作、宣伝、チケット販売までを一貫して行う同社が初めて運営する同劇場は、「ソフトのエンドプラットホーム」として開いた。北牧裕幸社長は「自分たちが面白いと思うもの、役者たちがやりたいもの、作りたいと思っている劇場を作ったらどうかと考えた」と、劇場運営に踏み込んだ理由を話す。

 同所は2月に閉店した映画館「シネセゾン渋谷」跡。白を基調に「クールな空間」に仕上げたエントランスには、「血の通った、人のぬくもりが感じられる劇場に」という思いを込めて、「B」の字のみを赤くしたロゴ看板をディスプレー。劇場全体のアートワークは、画家・アートディレクターの東學さんが手掛けた。

 劇場づくりには舞台監督など裏方の声を反映。舞台サイズは、間口=9メートル、奥行き=6メートル36センチ、高さ=4メートル80センチ、舞台高=80センチ。席数は242席(立ち見を含め最大収容人数は279人)。客席の勾配は高く作り直し「できるだけ見やすい客席」にした。舞台上上空の「グリッド」に凹凸をつけ、照明機材をつり込む幅が広くなるようにしたほか、天井を一度解体し、照明をつるブリッジ「キャットウオーク」2本を付け加えるなどの工夫を施した。調光ルームの開口部も広めにし、ステージを確認しやすいように工夫した。舞台裏となるドレッシングルームは間仕切りを入れて2部屋に可変できるほか、折り畳み可能なメーク台、「大鏡」のついた更衣室などを用意。シャワーや洗面台など水回りを完備したユーティリティールームも設けた。

 ファミリーマートやアミューズなど4社が音楽や映像を映画館などに配信する合弁会社として6月1日に設立したライブ・ビューイング・ジャパン(桜丘町)による映像配信中継システムを導入しているのも同劇場の特徴の一つ。ライブ会場と劇場の双方向中継や劇場の様子をユーストリームなどで配信することも可能。

 「(映画館跡ということで)限られたスペースで、スクリーンしかなかったところにステージを作ったり、楽屋もなかったりする環境の中、日頃から舞台を作っている現場スタッフと相談して始めた」と振り返る北牧社長。「劇場設計のプロにお願いしたわけではなく、手作りで作ってきた劇場。高機能でインフラの設備が整っている劇場に比べると、アナログ間のあふれる劇場。設備で勝負するのではなく、まずは中身、ソフト。109やセンター街には来るけど演劇を見たことのない人たちや、芝居や劇場に縁のない渋谷の若い方たちにも面白いと思っていただける演目を作れたら」と意欲を見せる。

 同劇場のスーパーマスコット「ふるちん」のモチーフにもなった、劇場アドバイザーを務める俳優の古田新太さんは「『ふるちん』の着ぐるみを作る予定。どんな公演になっても着ぐるみがロビーにいることになると思う」とし、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんは「僕らもこの後こけら(落とし公演)で使わせていただく。社長は『渋谷ジァン・ジァン』を作りたいと言っていたので、(「渋谷ジァン・ジァン」みたいな)雑多な感じで、グレードの高い「スズナリ(=「ザ・スズナリ」、世田谷区)」みたいにしたい」とも。

 オープニング企画として、9日~11日には、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん作・演出、古田さん主演の「奥様お尻をどうぞ」プレミアム公演を行う。以降のラインアップは、土田英生さんや長塚圭史さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんなど劇作家が自らの戯曲について話す「劇作家解体新書」(10月17日~11月8日)、俳優・入江雅人さんの一人芝居「MY GREATEST HITS」(10月28日~30日)、舞台フェスティバル「日本短編舞台フェスPLAY PARK2012」(2012年4月予定)など。チケット情報などは同劇場ホームページで確認できる。

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