東急電鉄は7月19日、渋谷駅東口・旧東急文化会館跡地で建設工事が進む超高層複合ビル「渋谷ヒカリエ」内の劇場「東急シアターオーブ」のこけら落とし公演が、ブロードウェー・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」に決まったと発表した。
東急グループ・東急文化村(松濤1)が運営を手掛ける同劇場は同施設内11階~16階に位置し、総客席数は1972席。劇場名は「天体・球体」を意味する「オーブ」と命名し、「浮遊感」をコンセプトに空をイメージした濃紺や雲をイメージした白を基調にデザインした客席空間が特徴。ミュージカルを中心とした公演をラインアップする。
1957年にブロードウェーで初演された「ウエスト・サイド・ストーリー」は、ニューヨークのストリートを舞台に、2つの不良グループの抗争、恋に落ちた男女の恋などを描いた物語。今回上演するのは、トニー賞受賞脚本家アーサー・ローレンツが演出したリバイバル版で、国内での上演は48年ぶりとなる。
同作について、同社専務(兼)文化街区新劇場開発事業準備室長仁田雅士さんは「物語も音楽も今どきのミュージカルの原点といえる作品であり、ロンドンなどでも公演され、映画にもなり世界的にも広がった作品」と紹介する。「アーサー・ローレンツが、英語とスペイン語の掛け合いを大事にした初演に近いかたちで再演したいという思いがあった」とも。
渋谷駅の乗降者数は現在1日約300万人、現在休館中のBunkamuraは年間約280万人の利用客があり、渋谷ヒカリエには1日4万人、年間1400万人が訪れると試算。「22年にわたって運営してきたBunkamuraで劇場運営のノウハウを学んできた。経験とノウハウを発揮したい」と渡辺惇社長。
同日行われた会見で、東京急行電鉄野本弘文社長は「本場のブロードウェーのミュージカルなど欧米を中心とした本物のライブエンターテインメントを提供し、本格派のミュージカルが、ここ渋谷で体験できるようになる。斬新な演出を可能にするため、舞台などにも映像装置を多く設け、アジアを中心とした周辺各国からの集客も図っていく」とし、「東洋一の劇場にしていきたいと考えている」と意欲を見せた。
さらに、「Bunkamuraやオペラシティ、能楽堂のほか、大小のライブハウスや映画館、コンテンツ企業の集積など渋谷の特徴を生かした『エンターテインメントシティ』として、国内はもとより海外からも認知されて『もっとも訪れたい街』にすることが、さらに大事になってくるのでは。その象徴が『渋谷ヒカリエ』であると意識している」という。
約1,000億円近くを投資している「渋谷ヒカリエ」事業に関しては、「渋谷大改造計画のトップランナー」と位置付け、「駅を中心に周辺では新たな再開発計画が順次進展しており、全てが完成するまでには10年以上かかる。今後の開発で必ずシネコン的なものはできてくる。ますますエンターテインメント性のある施設は集約されてくる」とも。
「ウエスト・サイド・ストーリー」の上演期間は来年7月中旬~8月上旬を予定。