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渋谷で金熊賞映画「悲しみのミルク」-ペルーの歴史背景に「旅立ち」描く

ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した「悲しみのミルク」より© Courtesy of Wanda Vision

ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した「悲しみのミルク」より© Courtesy of Wanda Vision

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 円山町のミニシアター「ユーロスペース」(渋谷区円山町、TEL 03-3461-0212)で現在、2009年ベルリン国際映画祭金熊賞などを獲得した「悲しみのミルク」が公開されている。

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 1980年代に起きた革命集団によるテロ活動を背景に持つ同作。舞台はペルーの貧しい村。娘を身ごもりながらも陵辱され、夫を殺された母親。その後生まれた娘ファウスタ(マガリ・ソリエルさん)は、母親が体験した苦しみが母乳を通じて子どもに伝わるという病「恐乳病」であると信じて疑わない。彼女は男性から身を守るため自身の体の奥にジャガイモを埋め込んでいる。

 苦しみの記憶と歌を残し亡くなった母を村に埋葬するための旅費を稼ぐため、街の裕福な女性ピアニストの屋敷でメードの仕事を始め、恐怖心を歌で紛らわせながら働くも費用はなかなかたままらない。屋敷の主人であるピアニストは、演奏会を目前に控えスランプに陥っていたところ、ファウスタの歌に強い関心を示し、一曲歌うごとにほどけたネックレスの真珠を一粒与えると約束しながら、約束を守らずファウスタを街中に置き去りにする。同作では、過去の記憶からの旅立ち、未来への希望を描いた。

 メガホンを取ったのはクラウディア・リョサ監督。1976年にペルー・リマで生まれたリョサ監督は1990年代後半にスペインのマドリードに移住し、現地の映画学校「Escuela TAL」で映画製作を学び、脚本先行で修士号を取得。ニューヨーク大学で監督の勉強をした後、卒業後はバルセロナの広告業界で働きながら自作の脚本を執筆。長編第1作「マディヌサ」は2006年ロッテルダム国際映画祭に出品され、国際批評家連盟賞を獲得した。長編第2作となる同作は第59回ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した。

 「未解決の、暴力的で個人的で集合的な記憶についての物語。そして、押し付けられた重荷や潜在的な抑圧についての物語でもある。少女の中に埋め込まれた1個のジャガイモは花を咲かせる時を待っている。それは癒やしの時でもある」とリョサ監督。

 鑑賞料は、一般=1,700円、大学生・専門学校生=1,400円ほか。

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