渋谷・明治通り近くに12月10日、フリーペーパーを専門に扱う「Only Free Paper」(渋谷区渋谷1)がオープンした。。
経営するBeatface(同)社長で元会社員の石崎孝多さんは、ファッションや音楽、アートなど多くの趣味を持つ中、以前からショップなど行く先々で置いてあるフリーペーパーを手にする「フリーペーパー好き」だった。
ネットメディアや電子書籍が普及してきている背景から、「紙媒体を盛り上げたい」「多くのフリーペーパーが1カ所に集まった店があっても良いのでは」と考え起業を決意し、同店を開いた。フリーペーパーについて、「有料誌とは全く違う。内容も独特で、面白く『作品性』が高い」と石崎さん。
店舗面積は約10坪。「おしゃれな本屋さん」をコンセプトにした店内にはアンティークや中古家具の一点ものを置き、木目を基調に「温かい雰囲気」「心地良さ」を演出。
平置きに並べたフリーペーパーは400紙・誌近く、連日のように企業や個人、地方から持ち込みに来る人が後を絶たないという。扱うのは、2006年に創刊し写真家・中村美鶴さん個人が撮影・取材・編集などを手がける「写真と人」や、鹿児島のブランディング情報誌「Region(リージョン)」、囲碁のフリーペーパー「GOTEKI(碁的)」をはじめ、女性2人が制作しているデザイン・アート系の「kidou」など。
早稲田大学の学生が手がける大学生のためのスタイルアップマガジン「Cue」や武蔵野美術大学や上智大学などの学生たちが同世代に向けて発信するカルチャー紙「NEWTRAL」など学生が手がけるフリーペーパーも。毎回50部ずつ置いているが、中には「店頭に置くとすぐなくなってしまうものもある」という。
ほかにも、クリエーティブディレクター箭内道彦さんが編集長を務めることでも知られるフリーペーパー「月刊 風とロック」や痛車専門フリーペーパー「月刊 痛車道」、アーティストやデザイナーら幅広いジャンルのクリエーターに発表の場を提供してきた「dictionary」など石崎さんのコレクションを閲覧用として展示。石崎さんのコレクションを含め、グルメや旅、ファッション、音楽、アートなどジャンルを問わず国内外のフリーペーパー置き、合わせて1,000紙・誌以上をそろえる。
来店客は店内のフリーペーパーを無料で持ち帰ることができるが、同一のフリーペーパーを2紙・冊以上持ち帰らないよう呼びかけている。現在、フリーペーパーの設置料も設けていないことから「今は売り上げがゼロ」というが、今後は店をギャラリースペースなどとして貸し出すなどし、売り上げ確保も図っていく予定。
オープン後、平日は平均100人、週末は200~300人近くの来店があり、20代を中心に学生や編集、アパレル、イベンターなど「クリエーティブな仕事をしている人」が多いという。「実験的過ぎかもしれないが、発行者と利用客の反応は良いので需要はあると感じている。毎日新しい情報が手に入る、楽しい場所になれば」と石崎さんは話す。
営業時間は11時~20時。火曜定休。