渋谷・スペイン坂上のミニシアター「シネマライズ」(渋谷区宇田川町、TEL 03-3464-0051)で現在、米画家・故ジャン=ミシェル・バスキアのドキュメンタリー映画「バスキアのすべて」(タムラ・デイビス監督)が公開されている。
1960年米ニューヨーク生まれのバスキアは、幼いころから母親に連れられ美術館に足を運び、18歳のころからアーティスト名「SAMO(same old shitの略)」を名乗り、NYの街の壁や地下鉄に「誌的な落書き」を描き頭角を現す。その後、自作のポストカードやTシャツなどをソーホー周辺などで販売。グループ展「タイムズ・スクエア・ショウ」に参加し、23歳で出会った「ポップアートの旗手」アンディ・ウォホールに認められ、瞬く間にスターの座に上り詰めた。イタリアや日本などで個展を開くなど活躍したが、急性薬物中毒で27歳の若さで亡くなった。
同作は生誕50周年記念として公開。20年以上未公開だった25歳時のインタビューをはじめ、アーカイブ映像や友人、ギャラリーオーナーなどへのインタビューを通して若くして命を落とした新鋭画家の「栄光と挫折」に迫る。
メガホンを取ったのは、生前の友人でもあった女性監督タムラ・デイビスさん。映画やテレビ、ミュージックビデオなど幅広く活動し、1992年に青春アクション映画「ガンクレイジー」で監督デビュー。2002年に公開されたブリトニー・スピアーズさん主演の映画「ノット・ア・ガール」や「グレイズ・アナトミー」(2005年~)、「アグリー・ベティ」(2006年~2010年)などテレビドラマも手がけてきた。
デイビスさんは「この映画は私の友人でありアーティストの個人的かつ親密な描写。彼は人生を謳歌(おうか)し、若くしてこの世を去った類まれなアーティストだった。そして素晴らしい作品を永久に残してくれた」とコメント。バスキアの誕生日でもある今月22日には、同館チケット販売窓口で「誕生日おめでとう」「HAPPY BIRTHDAY」と告げると鑑賞料が1,000円になる。同館で公開後、全国で順次公開予定。