代官山ヒルサイドテラス(渋谷区猿楽町)で12月18日、「白衣のファッションショー」が開催された。
医師で医療法人鳳優会理事長の藤元流八郎さんが「激務をこなしている医師たちが、日常業務の中でほんの少しだけでも楽しめたら」と昨年8月にオープンした「白衣」のセレクトショップ「PROFESSOR'S ROUND」(品川区)と杉野服飾大学が主催する。
「各地から医師が来店する」(藤元さん)という同店では、オリジナル商品の制作依頼を受け検討した結果、デザイン性と機能性を兼ねそろえた白衣を作るのは難しいと判断し同大の矢野教授に相談。共同研究が決まり、今回研究発表の場としてファッションショーを初開催した。
当日は同大学生らがモデルを務め、制作した白衣などを身に着けランウェイを歩いた。披露したのは、Aラインのシルエットで「ふんわり優しいイメージ」に仕上げたスタイルやジャージー素材で「動きやすさ」を追求した短パンスタイル、エッジを効かせた襟が特徴のドクターコートなど13点。
ピンクと白を基調に、チュニック丈のトップスに白いパンツを合わせた白衣スタイルを披露した同校3年の濱田里奈さんは「母が看護師をしていることもあり、(白衣は)身近なところにあるものだった。『白だと透ける』という意見や機能性の話など聞くことができた」とし、機能性については、「ストレッチ素材を使用し、しわになりにくいようにした。ポイントは(鎖骨あたりに付けた)聴診器を止められるストラップ。前かがみになることも多いので落ちないように(考えた)」と話す。
このほか、ランウェイには実際の医療現場で使われている各メーカの白衣約30点も登場。参加したのは、医療や食品工場などのユニホームを手がけるアプロン ワールド(千代田区)や白衣をはじめとする布縫製製品の生産・販売を行う森伍(大阪市旭区)、白衣などワーキングユニホームを手がけるフォーク(埼玉県加須市)、デサント(大阪市天王寺区)など。
「仕事の支障にならないちょっとしたこだわりアイテムを身に着けることで、より『人間的』な仕事ができるのでは」と藤元さん。中村賢二郎同大学長は「今年1月ごろに藤元さんと矢野教授が相談を始め、4月から授業の一環として制作が始まった。デザイン・機能性・価格という制約がある中で服作りをするのは学生にとっても良い経験になったのでは」と期待を寄せた。