中目黒・目黒川近くに現在、インスタントフィルムメーカー「IMPOSSIBLE」 のギャラリー兼ショップ「IMPOSSIBLE PROJECT SPACE」(目黒区青葉台1、TEL 03-5459-5093)がプレオープンしている。経営はImpossible Tokyo KK(同)。
同メーカーは、カメラのデジタル化が進みフィルム需要が減少したことで、2008年にインスタントフィルムの生産から撤退した米ポラロイド社に勤務していたアンドレ・ボスマンさんらが設立。「インスタントフィルムを後世に残す」ことを目的にプロジェクトを展開している。
ポラロイド社が閉鎖したオランダの工場を買い取り、インスタントフィルムの製造を行うほか、オーストリア、アメリカにも拠点を構え、「ビンテージ・インスタントカメラの在庫が多くある」ことなどからアジア圏への出店を決めた。「目黒川沿いには桜の木があり、店で購入してすぐに撮影することもできる」と同社CMOのフロリアン・キャプスさん。「目的を持ってきていただきたい」「店を探してほしい」と、「あえて大通りではない路地沿いに出店した」という。
店舗面積は約80平方メートル。ファッションブランド「パブリックイメージ」のデザイナーでもあるマルチ・クリエーター玉木竜二郎さんがデザインを手がけた店内には、ツルをモチーフにしたオブジェを置き、積み木をイメージした什器を配置。企画展などの内容により、ディスプレーを変えられるようにした。試着室だったスペースを残すなどアパレルショップの名残も。
扱うのは、ど新しい調合をし、光を与えると黄色やオレンジ色がきれいに出るという「PX70 PUSH!Color Shade」(8枚入り、2,100円)や、UVコーティングを加えたモノクロフィルム「PX 600 Silver Shade」(8枚入り、2,499円)などオリジナルのフィルムをはじめ、ポラロイド社の製品パッケージなどを手がけていたポール・ジャンバーバさんに再度デザインを依頼したというポラロイドフィルムのリパッケージエディション「600 Film」(2,350円)など。ポラロイド社の工場で着用されていたジャケット(7,350円)やデジタルタイマー(1,250円)などもそろえる。
店の壁面には現在、オランダの工場などを各種フィルムで撮影した写真を展示。オープン後初のエキシビションとして、荒木経惟さん、長島有里枝さん、佐内正史さんら5人の著名写真家がインスタントフィルムで撮り下ろした作品を展示する「IMPOSSIBLE」を開催している。展示写真はフラワーアーティストの東信さんが手がけたフレームに飾る。入場無料。今月25日まで。
キャプスさんは「(撮影は)フィルムを入れてシャッターを押すだけなので簡単。保存の仕方や温度で異なる見え方がする。写真好きな方だけでなく、音楽や本、アートが好きな方、写真が分からない方でも何かを感じていただけるのでは」と話す。「1947年の発明から続くインスタントフィルムは歴史の長い文化」とし、「デジタル化が進む中で、文化を大切に、歴史に触れられる空間にしていきたい」とも。
グランドオープンは12月4日。営業時間は12時~18時。月曜定休。