渋谷にプラネタリウム復活へ――11月21日に開業する渋谷区の新施設「渋谷区文化総合センター大和田」(渋谷区桜丘町)12階に、渋谷エリアでは2001年に閉館した「天文博物館 五島プラネタリウム」以来となる新プラネタリウム施設「コスモプラネタリウム渋谷」がオープンする。
渋谷駅東口「東急文化会館」8階に1957(昭和32)年に開業した五島プラネタリウムは、当時はまだ全国的に少なかったプラネタリウムを「日本全国に広めるためのモデル」として開館。1996年3月には来館者数1,500万人を突破したが、2001年、同館解体とともに惜しまれつつも閉館した。新たに開館するコスモプラネタリウム渋谷では、同施設で27年間解説員を務めた村松修さんが再び解説員を務める。
村松さんは、閉館後も当時の資料を使い観望会や講演会などを行っていたことから「9年間待った感じではない」としながら、「待ち遠しかった方も多いのでは」と期待を寄せる。
ドーム直径は、一般的に中規模プラネタリウムに分類される17メートル。「本来なら倍ほどの席数が取れる」というフロア内には、「ゆっくり過ごしていただきたい」と120席を設けた。北半面の約6割は固定席とするほか、南半面の約4割は約90度座席の向きを変えられる回転式独立席を都内では初めて導入する。照明はすべてカラーLEDを使用するなど「映像への投入感・高品位な観賞空間」を目指す。
天体投影機は、コニカミノルカプラネタリウム(大阪市西区)製の「ジェミニスターIII」を使用。投影機の中心に配置する電球を設置の光を恒星に見立て投影する「光学式投影機」と、プロジェクターで映像を投影する「全天周デジタル動画システム」を備えることで、光学式では「リアルな星空」、デジタル式では「ダイナミックな映像」がそれぞれ見られるという。
展示ロビーには、五島プラネタリウムの天文資料やプログラムと連動した品などを展示予定で、屋上観望スペースでは観望会や天体写真撮影会などのイベントも開催していく。五島プラネタリウムから寄贈された当時の投影機(独カール・ツァイス社製)は、同施設2階に展示。閉館後渋谷区によって保存されていた同機は、新プラネタリウム建設の際に挙がった再展示案が金銭面から一時見送りになったが、当時の職員らが実行委員会を結成し募金活動を開始。5月上旬の募金開始から8月末までに集まった寄付金で移設費用560万円を賄った。
「どういう施設が良いか突き詰めて考えた結果、原点に戻って『本当にきれいな星空を見せる』というコンセプトに行き着いた」と村松さん。「ダイナミックな映像を見たいという方、山奥で見上げたようなきれいな星空を見たいという方など、いろいろな方がいると思う。それぞれのニーズに応えられるようにしたい」とし、「子どものころを思い出せるような『あったかい星空』を見せられるプラネタリウムになれれば」と話す。
オープン当日は午後から「オープニング番組予告編」の投影を行い、24日から一般投影を開始。番組投影は平日=4回、土曜・日曜・祝日=5回を予定し、投影時間は各回45分~50分を目安にするという。
渋谷区文化総合センター大和田は、旧大和田小学校跡地の再開発計画として2007年10月に着工。地下3階、地上12階から成る延べ床面積約2万7,400平方メートルの施設には、スポーツや運動ができる「多目的アリーナ」や700人以上を収容する文化ホール、ファッション・デザインなどの産業振興や若手の人材育成を行うための産業支援関連施設などが入る。五島プラネタリウムが入居していた東急文化会館跡では現在、東急百貨店などが出店する高層施設「渋谷ヒカリエ」(渋谷2)が建設中。
プラネタリウムの開館時間は12時~20時(土曜・日曜・祝日は10時~)。月曜休館(22日は臨時開館)。入館料は、大人=600円、小・中学生=300円、小学生未満無料(座席を使用する際は有料、展示ロビーは入場無料)。