渋谷区は、表参道や恵比寿など区内14カ所の公衆トイレで募集していた命名権(ネーミングライツ)の内10カ所の公衆トイレのネーミングライツを売却した。
区はネーミングライツの活用で新たな財源を確保するとともに、施設の維持管理などの環境面を整えることで、利用者サービスの向上を目指す。これまでに、「渋谷区役所前公衆便所」(渋谷区神南1、昨年5月から3年間)、同11月には表参道ヒルズに隣接する「表参道公衆便所」(渋谷区神宮前4、昨年11月から5年間)の2カ所について譲渡先が決まっている。
今回ネーミングライツを取得したのは、下水道施設の総合維持管理業を行う管清工業(世田谷区)と、ビル管理の総合メンテナンス業を手がける秀和ビルメンテナンス(中央区)の2社。管清工業は「渋谷駅東口公衆便所」(渋谷2)や代々木駅近くの「裏参道公衆便所」(千駄ヶ谷4)、代々木八幡宮内の「代々木八幡公衆便所」(代々木5)、原宿・明治通り沿いの「神宮前公衆便所」(神宮前1)など9カ所を、秀和ビルメンテナンスは「千駄ヶ谷駅前公衆便所」(千駄ヶ谷1)のネーミングライツをそれぞれ取得した。
今回売却した10カ所の公衆トイレはいずれも、昨年12月、著名人のマネジメントやPR事業などを手がけるサニーサイドアップ(千駄ヶ谷3)が「渋谷の街をおもしろくしていこう」とネーミングライツを取得していた。同社が介在し、企業PRや商品発表などを目的に企業に譲ることも考え営業をしていたが話がまとまらず、中でも今回命名権を取得した2社が取得に興味を持っていたことや、「付加価値をつけることができていなかった」ことなどから渋谷区と話し合い同社が辞退。その後、渋谷区が協議し2社に売却するに至った。
管清工業が取得した9カ所の公衆トイレはすべて「どかんせんとせいこちゃんの学べるトイレ」と命名。屋内には「水循環や下水道、トイレについて気軽に楽しく知ることができる」パネルを設置。各箇所で異なる内容のパネルで、数か月ごとにローテーションする予定。
「就活のつらさは水に流す」というコンセプトで「就活サポート『出会いのトイレ』」と命名するのは、秀和ビルメンテナンス。国家資格であるエネルギー管理士について説明するパネルを設置し、同看板を見て問い合わせをした就職活動生にはアドバイスなどを行う予定。
まだ売却先が決まっていない渋谷駅西口の公衆トイレと「恵比寿駅西口公衆便所」(恵比寿南1)、「渋谷駅西口公衆便所」(道玄坂1)については現在募集を行っていないが、今後再度公募する予定。
両社ともに契約期間中は週1回の目視点検やゴミ収集などの清掃を実施する。契約期間は910日~2012年3月31日までで、契約料は使用期間中1カ所につき年間15万円。