HMV渋谷（渋谷区宇田川町、TEL 03-5458-3411）は現在、8月22日の閉店に向け連日カウントダウン企画を展開している。

トップバッター「曽我部恵一BAND」に熱い声援を送る来場者たち

　同店は1990年11月、英音楽・映像ソフト販売チェーン「HMV」の日本1号店として、渋谷Bunkamura通り沿い「ONE-OH-NINE」内に開業。1998年に現在の渋谷センター街に移転し、20年にわたり渋谷の地で営業を続けてきた。

　同店では7月から「HMV SHIBUYA THE LAST DANCE」と銘打ったインストアイベントを企画。閉店まで残り3日となった今月19日には、シンガー・ソングライターの曽我部恵一さんが発起人となり、HMV渋谷の閉店を「黙っていられない」アーティストたち30組以上が参加する「曽我部恵一 presents HMV渋谷 おつかれサマーフェス」を開催。閉店の23時まで、インストアライブやトークセッションなどが繰り広げられている。

　この日は、開店時間を前に店頭に多くの客が集まり、10時の開店と同時に会場となる2階へ。イベントのトップバッターを務める「曽我部恵一BAND」のメンバーがステージに姿を現すと、100人を超える観客が拍手で迎えた。

　平日朝にもかかわらず、多くの人が集まったことに、同バンドのボーカルを務める曽我部さんは「たまたま（イベントが）平日になって、正直朝からお客さんが集まらないかと思ったけど、皆ありがとう」と話した。「今日は渋谷にありがとうということで」と切り出し、HMV渋谷が移転する前にインディーズ時代（サニーデイ・サービス）のCDを置いてもらったエピソードを披露。「間違って試聴機に入って、その翌々週くらいに（HMV渋谷の）チャートで3位に入った」と思い出を語った。

　曽我部恵一BANDは「キラキラ」「海の向こうで」「テレフォン・ラブ」の3曲を歌いステージを後に。その後、アコースティックギターとラップの2人組ユニット「MOROHA」やソロシンガーの中村ジョーさん、4人組ロックバンド「おとぎ話」、シンガー・ソングライターの堂島孝平さん、お笑いコンビ「エレキコミック」のやついいちろうさんらが次々と登場。それぞれ、「ありがとう」「お疲れさま」など同店へのメッセージを口にした。

　トークセッションや「サニーデイ・サービス」でのライブなどほかにも出演を控える曽我部さんは「曽我部恵一BAND」としての出演終了後、「バタバタしていて感傷に浸れない」と話しつつ、「今日はお祭りだから、まったりのぞくだけでもいいし、ワイワイしてもいい。自由に好きなように楽しんで」と話した。曽我部さんはじめ、イベント出演者はノーギャラだという。

　この日、イベント開始時から参加した猪又真知さん、内村理恵さん、渡部加代子さんの音楽仲間3人は「（閉店は）残念。今日は10人くらい友達が集まるので、出たり入ったりしながら1日中音楽を楽しみたい」と話した。

　ほかにも、2階では全日本ポスト･サブカルチャー連合（大橋裕之さん、大原大次郎さん、小田島等さん、箕浦建太郎さん）のライブペインティングを終日行っている。20日には、1階・2階でミニライブやサイン会などを開催するほか、21日（14時～）は3階でノイズバンド「非常階段」がインストアライブ「ノイズの時間」を開く。

　閉店日当日の22日にはファイナルイベント「REGENERATION」を開催。クラブ「The Room」（桜丘町）のプロデューサーでもある沖野修也さんや「Organ Bar」（宇田川町）のプロデューサーを務めていた須永辰緒さん、ラジオ「SHIBUYA-FM」内の番組でナビゲーターを務めるDJ KAWASAKIさん、佐藤強志さん（BLACK EDITION）、シンガー・ソングライターの椎名純平さん、池田憲一さんのソロプロジェクト「ROOT SOUL」、元ラヴ・タンバリンズのボーカルで、現在ソロで活動するeliさんらが出演する。開催時間は14時～23時。入場無料。会場は、1階＝DJ、2階＝ライブ、3階＝トークイベント。

　音楽フェス情報サイト「フェスウィキ」では19日から、同店への「ありがとうメッセージ」を募集する特設ページを開設。ツイッターとも連動し、ハッシュタグ「＃HMVshibuya」を付けてメッセージや写真をツイートすると、同ページにも表示する。

　閉店に先駆け、5階に出店していた新星堂の楽器店「ROCK INN」は8月18日に閉店。6階の古着店「HANJIRO」は同22日に渋谷HMVとともに閉店する。

　HMV渋谷の営業時間は10時～23時。イベントはすべて入場無料。