シネカノンとCQNシネマズ(以上、渋谷区松濤1)は1月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は、シネカノン=約40億3,000万円、CQNシネマズ=約6億7,330万円。
シネカノンの創業は1989年。李鳳宇社長の初プロデュース作品「月はどっちに出ている」(1993年)をはじめ、「のど自慢」(1999年)、「パッチギ!」(2005年)、「フラガール」(2007年)など多くの作品を送り出してきた。2000年には韓国映画「シュリ」の配給も手がけ、130万人の観客動員数を記録した。2006年には個人投資家向けに「シネカノン・ファンド」も立ち上げている。
民事再生法の適用申請申に至った理由について同社は、大型映画館の開設が相次ぎ運営映画館の採算が悪化したこと、2005年に韓国ソウルで開業した映画館が開業まもなく詐欺事件に巻き込まれ多額の損失を負ったこと、映画ファンドによる資金調達を行った結果の資金繰りの悪化などを挙げる。「これらにより未払い金の激増、信用不安が発生し事業継続に支障が生じた」(同社)。
CQNシネマズは劇場運営を手がける子会社。渋谷エリアでは最大3館の直営館があったが、「渋谷シネ・ラ・セット」は2008年1月、「ヒューマントラストシネマ文化村通り」(旧「シネ・アミューズ」)は昨年10月31日に閉館し、現在は「ヒューマントラストシネマ渋谷」(旧「アミューズCQN」、渋谷1)のみとなっている。「シネカノン有楽町1丁目」(千代田区)は今月28日で閉館した。「ヒューマントラストシネマ渋谷」「ヒューマントラストシネマ有楽町」の運営を受託している東京テアトル(中央区)は「これまで通り営業を続ける」としている。
今後の見通しとして、同社は「事業規模の適正化を図りつつ当社が保有するコンテンツや映画にかかわる各種権利を有効活用。十分に事業の採算化は可能であると考える」としている。