渋谷パルコを中心にした宇田川町エリアを拠点に、パズルを組み合わせて渋谷の未来を救う代替現実ゲーム(ARG)「FUTURE PLAYER」が12月27日まで展開された。早川書房「S-Fマガジン」創刊50周年記念キャンペーンの一環。
ARGとは、プレーヤーがウェブサイトや実際の場所を舞台に展開する物語の断片を、暗号を解きながらつなぎ合わせるメディアミックスゲーム。プレーヤーの物語世界への高い没入感が特徴で、マーケティング手法の一つとして欧米を中心に活用され始めている。
「FUTURE PLAYER」は、渋谷パルコ・パート1の6階で開催された「SyncFuture」展、同名アートブックの発売などと合わせて展開した。
フライヤーやSyncFuture事務局のウェブサイトに加え、渋谷各所にばらまかれたエアタグ(現実の任意の場所に付加されたテキスト・画像・音声情報で、iPhoneアプリ「セカイカメラ」を使って再生・投稿が可能)をゲームの入り口にした同企画。プレーヤーが「これから渋谷で起こる未来の危機を阻止する」という設定で、物語は「SyncFuture」展示会場やパルコ・パート1向かいのアートカフェ「kurage」などの現実空間と、携帯電話、URLなど複数のメディアを行き来する形で展開した。
12月7日の開始から約2週間の実施期間内、ウェブ(ケータイ含む)でのユニークユーザー数は約2,000(12月24日現在)で、実際にSyncFuture展示会場でゲームを進めたのは約110人(同)を記録したという。開始当日にはツイッター内にハッシュタグが登場し、関連動画がYouTubeにアップされるなどネットを中心に話題を集めた。
同企画について、Sync Future ARGプロジェクトプロデューサーの森卓也さんは「セカイカメラを使ったAR(拡張現実)をARG進行に絡めるなど、先進的な技術を取り入れる一方、人やベンダーマシンを使ったアナログなギミックも含め、渋谷の街という限定されたエリアで、コンパクトかつ立体的な展開ができた。ARGというエンターテインメントを知ってもらい、体験してもらうという当初の目的はクリアされた」と話す。「ARG上級者にとっては、比較的簡単なゲームレベルで、初心者から上級者まで全ての層に満足してもらえるゲームバランスの設定が今後の課題」とも。