渋谷マークシティ(渋谷区道玄坂1)内の連絡通路で一般公開されている岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」のすす払いが11月6日深夜から、5日間の日程で始まった。
「明日の神話」は岡本絵画で最大の作品となる幅30メートル、高さ5.5メートルの巨大壁画。メキシコ人実業家の依頼で1968~1969年に制作されたが、完成後、人目に触れぬまま行方不明に。故岡本敏子が2003年9月に発見して以来、再生プロジェクトがスタート。修復作業完了後、恒久設置先の候補地として渋谷区、吹田市、広島市が申し入れを行ったが、選考の結果、渋谷区を恒久設置先として決定。昨年11月17日より同所で一般公開されている。
公開以来、通路を行き交う多くの人を引きつけてきたが、この1年間に付着したほこりを取り除く清掃作業を、絵画修復家・吉村絵美留さんの指導の下、渋谷・青山エリアのボランティアの協力を得て実施される。
井の頭線終電後の午前0時45分ごろから足場が設置された現場では午前1時すぎ、NPO法人「明日の神話保全継承機構」の小林幹育理事長が「あと10日で1年。ほこりもたまっていたことから8月ごろに分析を行った結果、やはり1年をめどにそうじをした方がいいだろうということになった。どれだけ絵の輝きを戻せるかはやってみなければわからないが、どうか事故のないように」とあいさつ。
その後、吉村さんがボランティア19人に清掃の手順を説明し、絵画にたまったほこりをはけで払いながら、同時にクリーナーで吸い取る地道な作業が始まった。壁画を左右14区画に分け、区画ごとに清掃を行い、万が一破損した場合も破片がどの区画のものかがわかるように慎重を期す。吉村さんによれば、「(ほこりは)絵の前を毎日通過する30万人の衣類の天然繊維と化学繊維が絡み合ったものが中心」だという。
清掃日は7日~16日のうちの5日間を予定。各日、終電後から早朝4時まで行い、最終日の17日には銘板を設置する。