千代田区内から広尾に移転した日本画専門美術館「山種美術館」(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)が10月1日に開館し、同日より開館記念特別展「速水御舟 日本画への挑戦」が始まる。
大正から昭和を駆け抜けた日本画家・速水御舟は、40年間の生涯に700点余りの作品を残したが、その多くが秘蔵され、「幻の画家」と言われていた。同館では、1976(昭和51)年に館長だった山崎富治さんが旧安宅コレクションの速水御舟作品105点を一括購入。それまで所蔵していた作品と合わせて120点の御舟作品を所蔵したことで話題を集め、現在まで「御舟美術館」としても知られる。
新美術館開館を記念した同展では、重要文化財にも指定される「炎舞」「名樹散椿」をはじめとするすべての所蔵作品に加え、未完の大作「婦女群像」(個人蔵)や1930年の渡欧日記(個人蔵)も初公開。旧美術館の約2倍のスペースを持つ企画展示室に、画塾に通った10代から40歳の若さで急逝するまでを4部構成で紹介し、御舟のたどった道のりを振り返る。
3代目の館長を務める山崎妙子さんは新美術館について、「日本画を主題に『シンプルなデザイン』を心がけた」と話し、「創設時の山崎種二の思いでもある『美術を通じて社会、特に文化のために貢献する』という理念を継承して美術振興に励みながら、さらに多くの方々に楽しんでいただける、何度も足を運びたいと思える美術館を目指していきたい」と話す。
同展の開催時間は10時~19時(入館は18時30分まで)。月曜休館(10月12日、11月23日は開館、翌火曜は休館)。入館料は、一般=1,200円、大高生=900円、中学生以下無料。同展は前期=11月1日まで、後期=11月3日~29日。