レズビアン、ゲイなどの「セクシャル・マイノリティー(=クィア)」をテーマに、アジアの長短編作品を一挙に紹介する映画祭「アジアンクィア映画祭(AQFF)2009」が9月19日より、神宮前のレンタルシアター「KINEATTC(キネアティック)」(渋谷区神宮前2、TEL 03-5411-8053)で開催される。
AQFFは、レズビアン映像作品を制作するiriさんと夏絹さん、「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」プログラマーの大木卓実さんらを中心に2007年にスタート。「レズビアン&ゲイ国際映画祭は資本のついた欧米作品が豊富で、アジアのインディペンデント系作品は選考から漏れることも多い」という大木さん。AQFFがアジア作品に的を絞っているのは「クィアというテーマを、欧米やテレビの世界に限ったものではなく、より身近なものとして感じてもらいたいから」と続ける。2007年の初開催は前売り券が一部完売するなど好評を得、1週間で延べ1,142人の来場者数を記録した。
シネマアートン下北沢(世田谷区)の閉館に伴い会場を原宿に移した今回は、日本、韓国、香港、タイなど10カ国以上から集めた約30作品を、5日間にわたり一挙に上映。ほとんどが日本未公開作品で、「当事者が楽しめるかどうか」をポイントにセレクトし、コメディー映画からラブストーリー、ドキュメンタリー、アート作品までジャンルは幅広い。
オープニング作品は、フィリピン映画界を代表する人気監督ジョエル・C・ラマンガンさんが描くバタバタファミリ―コメディー「ママに花束を!」(2006年)。そのほか、人生の分岐点に立たされた17歳の少年の心の揺らぎを巧みに描いた香港の気鋭監督サイモン・チュンさんの初長編作品「僕は小さく恋をする」(2005年)や、1950年代の南アフリカ連邦におけるインド人社会を舞台に、夫に従順な女性と、カフェを経営する独立心旺盛な女性との間の愛と、2人の心の自立を描いた傑作「あかね色のケープタウン」(2007年、シャーミム・サリフ監督)などを公開する。
「セクシャル・マイノリティーは、実際はだれの周りにもいる存在」と話す大木さん。上映会開催にあたり、「クィアが決して特異なことではなく、自分たちの思考や、恋愛感情とそう変わらない存在なのだと気づいてもらえるきっかけになれば」と意気込み、「当事者であるクィアの人たちには楽しんでほしいし、ちょっと悩んでいる人には元気の素になってほしい」と話す。
チケットは、当日1回券=1,300円、当日1日券=6,000円(5プログラム分)。今月23日まで。