ランドマークや見慣れた風景を廃墟に-表参道で気鋭アーティスト新作展

hpgrpギャラリー東京で開催中の「元田久治展」展示風景

hpgrpギャラリー東京で開催中の「元田久治展」展示風景

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 「hpgrp Gallery東京」(渋谷区神宮前5、TEL 03-3406-0032)で現在、東京タワーや渋谷など、有名な景観を「廃墟化」させた版画シリーズで知られる気鋭アーティスト元田久治さんの新作ペインティング展「元田久治展」が開催されている。

北京オリンピックのメインスタジアムを描いた作品 (関連画像)

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 1973年(昭和48年)熊本生まれの元田さんは、12~13年前からリトグラフ制作に取り組み、2001年に東京芸術大学大学院を卒業。もともと廃墟や工場跡地を描いてきたが、5年前から「見る人がその場所を知っていると、その場所が壊されることでそこに居合わせたような体験をする。(作品が)その『共有体験』を生みだす『装置』になれば」(元田さん)と、東京タワーや国会議事堂などのランドマーク、銀座や渋谷などの見慣れた風景を廃墟として描く版画作品を発表してきた。

 会場には、北京オリンピックのメーンスタジアム(通称「鳥の巣」)や、六本木ヒルズ森タワー、東京駅などがそれぞれ荒廃し、廃墟化する様子を描いた新作ペインティング5点が並ぶ。今年2月のギャラリーオープン以来、会場への来場者数は最多を記録している。

 ギャラリーディレクターの戸塚憲太郎さんは「景観や文化や価値観は時間が経てば変化していくもの。(元田さんの作品は)その移ろいを絵の中に落し込む」と話し、「未来を見据える予言的な作品になっていると思う」と評価する。また、破壊や崩壊などネガティブなイメージの強い「廃墟」というテーマについて、元田さんの作品にコケやツタなどの「緑」が描き込まれている点にも着目する。「荒廃した風景の中のわずかな緑は、まだそこに『希望』があることを伝えているようだ」。

 9月から海外に留学する元田さん。戸塚さんは「これからの作品が楽しみ」と期待を寄せる。開催時間は11時~20時。月曜休廊。8月30日まで。

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