Bunkamura(渋谷区道玄坂2)シアターコクーンで6月25日、蜷川幸雄さんが演出を手掛ける長編舞台「コースト・オブ・ユートピア」の製作発表会見が開かれ、阿部寛さん、勝村政信さん、佐藤江梨子さんら豪華出演陣が出席した。
コースト・オブ・ユートピアは、英・気鋭劇作家トム・ストッパードさん作。2002年にロンドン、2006年にニューヨークで公演を行い、米トニー賞を受賞した約9時間に及ぶ長編大作。新時代に向かい躍動する19世紀ロシア・ヨーロッパを舞台に、実在の登場人物が「知的ユーモア」を交えながら理想的社会の実現に向け壮大なドラマを繰り広げる。
日本初上陸となる同公演は、Bunkamura開業20周年企画。9年ぶりの長編に挑む蜷川さんは会見で「(舞台で描かれる)19世紀の革命は現在にも通じる。新しい俳優との出会いで僕自身も成長したい」と話し、9時間に及ぶ上映時間については「あえて9時間。たまにはいいだろう、という気持ちで一緒に過ごしてもらえれば」と来場を呼び掛けた。
この日出席した俳優陣は総勢18人。主役の空想社会主義社ゲルツェンを演じる阿部寛さんは「台本を見て気絶しそうになった」と9時間分の重みを感じたといい、「精一杯がんばりたい」。無政府主義者バクーニン役の勝村政信さんも「台本を持って手首を痛めた」と笑いを誘い、「まずは時間に慣れること。リズムを作っていきたい」と長編舞台の「攻略法」を披露した。
公演では豪華女優陣の共演も見どころ。バクーニン家の長女を演じる京野ことみさんは「蜷川さんの舞台は久しぶり。興奮と少し恐怖感も」と話し、蜷川さん演出の舞台は初出演という佐藤江梨子さんは「蜷川さんの舞台に出るとまわりに話すと、二言目には『脱ぐの?』と聞かれる。キスシーンは1番嫌だなと思っていた勝村さん」とユニークなエピソードを交えながら意気込みを語った。
蜷川さんの舞台は2度目という栗山千明さんは「難しい舞台。皆の足を引っ張らないようにがんばりたい」。バクーニン家の家長、アレクサンドルの妻役を演じるベテラン、麻美れいさんは9年前、蜷川さん演出の長編「グリークス」にも出演。「8時間の舞台、客席から感動の空気をもらった」と振り返り、「今回の舞台でも味わいたい。蜷川さんの下恐れずに『船出』したい」と話した。
公演期間は9月12日~10月4日。「船出(VOYAGE)」「難破(SHIPWRECK)」「漂着(SALVAGE)」の3部構成で、料金は通し券(土曜・日曜・祝日)、セット券(平日)がそれぞれ15,000円~、各部券が5,000円~。6月27日から一般販売を始める。