フィリピンの「ごみの山」で生きる人々の日常に迫ったドキュメンタリー映画「BASURA(バスーラ)」が6月27日より、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)1階ホールで単館上映される。
1995年、マニラ北部の「ごみ捨て場」の街「スモーキーマウンテン」の実情に迫ったドキュメンタリー「忘れられた子供たち―スカベンジャー」で国際的評価を集めた四ノ宮浩監督の最新作。「忘れられた-」の公開後、ラモス旧大統領の決定で突如閉鎖したスモーキーマウンテンから徒歩10分。政府が用意した住宅には住まず、廃棄物の一時集積場近くで暮らしながらごみ拾いで生計を立てる人々の「現実」に迫った。
30歳を過ぎた四ノ宮監督が「ライフワーク」を求める旅の中でフィリピンに訪れたのは約20年前。次々に持ち込まれるごみの山で年中メタンガスの煙が上がることから「スモーキーマウンテン」と呼ばれた漁村で懸命に生きる子どもたちをフィルムに収め、第2作「神の子たち」(2001年)では、その後村の閉鎖に伴い起きた問題に迫り、2002年トリノ「シネマアンビエンテ環境映画祭」コンペティション部門でグランプリを受賞した。
スモーキーマウンテン近くの廃棄物一時集積場「アロマゴミ捨て場」では今も、掘っ立て小屋に住みながらごみ収集で生計を立てる「スカベンジャー」の姿が後を絶たない。2,000世帯、約1万4,000人とも言われるスカベンジャーの中には、四ノ宮監督が20年前の撮影時に出会ったかつての「子ども」たちの姿も。
同作では、20年前、16歳で妊娠・結婚を経験し、現在は4人の子どもをもうけボランティア支援を受けながらアロマゴミ捨て場裏のウリガン地区で子どもの支援活動に参加するクリスティーナさん(35)や、当時スモーキーマウンテンに20年以上暮らし、現在はミンダナオ島で暮らすイルミナダさん(61)らのインタビューを中心に、変わらない劣悪な生活環境や環境汚染、健康被害などの問題を提起する。
公開初日には四ノ宮監督が舞台あいさつを行うほか、同作公開を記念して、第1作、第2作もそれぞれ、6月27日~7月3日・11日~17日(第1作)、7月4日~10日、18日~24日(第2作)に上映する。料金は、一般=1,800円、学生=1,500円ほか。月曜休館。