世界的に高い評価を受けた報道写真を一堂に展示する「世界報道写真展2009」が6月13日、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099)で始まる。
世界報道写真財団(本部=オランダ・アムステルダム)が前年1年間に撮影された報道写真の中から優秀賞を選出するフォトコンテスト展。入賞作品約200点は日本を含め世界100カ所以上を巡回。52年目を迎える今年は、124カ国から過去最高の5,508人、計9万6,268点の作品が集まった。
大賞は、米「タイム」誌に掲載されたアンソニー・スアウさんの作品。もぬけの殻になった住宅を確認して回るのは、拳銃を構えた警察官。立ち退きを言い渡された住民が家に残っていないことを見て回る光景から、米経済危機の「現状」を浮かび上がらせた。
「ニュースの中の人びと」の部(組写真)1位を受賞した「バラク・オバマの大統領選挙戦」(米、カリー・シェルさん)に写るのは、選挙中のオバマ大統領がミシェル夫人と肩を寄せ合い新聞に目を通す姿。北京五輪が開かれた昨年は、4年に1度のスポーツの祭典で最も注目を集めた選手のひとり、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)が陸上男子200メートルで優勝した瞬間をとらえたマーク・ダッズウェルさん(豪)の作品が「スポーツ・アクション」の部、単写真2位に入選。世界情勢を切り取った報道写真ならではの「記録」が見て取れる。
各国の写真家が名を連ねる中、今年は2人の日本人写真家が入賞。千葉康由さんは、ケニア西部の部族間の対立をとらえた作品が「ニュースの中の人びと」の部(単写真)1位を獲得。米在住の山口元さんは、フロリダで裏庭のブランコに座る自閉症の少女の姿をとらえ、受賞にこぎ着けた。
開催初日の13日には、大賞を受賞したアンソニー・スアウさんが来日講演(13時30分開場、整理券番号順入場、定員=先着190人)を行うほか、7月11日には小・中学生を対象に報道写真の基礎知識やプリント、紙面制作などの工程をレクチャーするワークショップ(10時30分~16時)を開く。入賞した千葉さんら若手国際カメラマンによるトークイベントも同12日に開催する。
会場は地下1階展示室。開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで、入館は閉館の30分前まで)。料金は、一般=700円、学生=600円、中高生・65歳以上=400円。8月9日まで。