東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)で2月20日、国内外アーティストの「映像」作品を集めた複合企画「恵比寿映像祭」が始まる。
10日間にわたり、全フロアを通じて「型にはめない」映像表現を紹介。年に1度の継続的な開催で幅広い映像作品を開拓する。開催1年目となる今年のテーマは「オルタナティヴ・ヴィジョンズ ~映像体験の新次元~」。テレビをはじめとするマスメディアの時代を経て広がる映像の新たな価値に焦点を当てる。
展示部門に参加するのは、国内外の新旧実力派14組(19人)。日本での本格的な展示が初となるジャネット・カーディフさん、ジョージ・ビュレス・ミラーさんによるユニットは、サウンドや映像を幾重にも組み上げた映画的な作品に国際的評価が集まる。ジェス・マクニールさんは、ロンドンを拠点に絵画と並んで映像制作を続ける気鋭アーティスト。
故人では、商業広告のイラストレーターとして頭角を現し、ドローイング、ペインティング、写真など多彩な分野で活躍、映画やビデオなど前衛的な映像作品も多く発表したポップ・アートの旗手、アンディ・ウォーホルや、既存作品を転用する「ファウンド・フッテージ」の先駆者として知られるブルース・コナーの作品も公開する。
国内からは、「メディア・レイピスト」として映像をはじめデザイン、文筆業、キュレーションなどの分野を横断しながら創作活動を続ける現代美術家、宇川直宏さん、日常に潜む違和感を独特なブラックユーモアで映し出すアーティスト、木村太陽さん、大学で建築を学んだ後に渡英し国内外で作品を発表する岡田憲一さんらが参加。
このほか、英「テート・モダン」や仏「ポンピドゥー・センター」などの現代美術館で依頼を受けたコミッションワークを発表するなど各国で活躍する「チャン・ヨンヘ重工業」(韓国)や、ストックホルム在住の女性映像作家ヨハンナ・ビリングさん、グループ結成40周年の回顧特集を展開する「ジェネラル・アイディア」など、各国から年代も作風もさまざまな作品が登場する。
メーン企画に加え、「手作り」感覚で作られた日仏の映像作品を紹介する映画傑作選や、自主映画配給の草分け的的組織として知られる「キャニオン・シネマ」によるプログラム、オーストラリア・アバンギャルド映画の歴史を追うフィルム史などの上映プログラムも同時展開。
2階展示室では「視覚」以外の感覚に訴える映像作品を紹介するほか、館内では展示室やホールのほか、カフェやパブリックスペースなどでも作品を上映。会期中は各参加アーティストによるトークイベントも開催する。
開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜休館。入場無料(定員制上映プログラムなど一部有料イベントを除く)。3月1日まで。