公衆トイレに「ネーミングライツ(施設命名権)」――渋谷区は1月30日より、表参道や恵比寿など区内14カ所の施設命名権導入に向けたスポンサー企業の募集を開始した。
スポーツ施設や文化施設などに特定の名称を付けることで企業やブランドの宣伝効果を見込む命名権は、これまでスタジアムや音楽ホールなど大型の集客施設が対象となっていた事例が多く、区が命名権の売却に成功すれば、前例がないユニークな名称の公衆トイレが誕生する可能性もある。区では、ネーミングライツの活用で新たな財源を確保するとともに、施設の維持管理などの環境面を整えることで、利用者サービスの向上を図る。
スポンサーを募るのは、表参道ヒルズに隣接する近代的な外観が特徴の「表参道公衆便所」(渋谷区神宮前4)をはじめ、「渋谷駅東口公衆便所」(渋谷2)、「恵比寿西口公衆便所」(恵比寿南1)、「並木橋公衆便所」(東1)など大通りや駅前に面した立地にある公衆トイレ14カ所。うち表参道や区役所前など7カ所は、施設名称看板の設置などに加え、施設内で企業の広告を掲出することもできる。
募集では、契約金額や希望名称の提示に加え、清掃回数の増加など施設の維持管理に関する具体的な提案も受け付け、「きれいに使えるアイデアなどの提案、提示金額などを総合的に評価し、スポンサーを決める」(渋谷区土木部公園課担当者)という。提案次第では、施設の改修や建て直しも、いずれも企業負担で許可する。
契約対象は、自らがスポンサーになる企業と、命名権のリセール業務を行う広告代理店を含む法人。契約期間は5年間で、募集は今月13日まで。今後、今年4月の導入をめどに選考を進める。
区は同日より、旧大和田小学校跡地(桜丘町)で建設を進める文化総合施設のネーミングライツ導入に向けたスポンサー募集も開始。来年開館予定の同施設には、プラネタリウムをはじめ、ファッション・デザイン産業支援関連施設や子ども科学センターなどの開設を予定している。