独・ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館が所蔵するパブロ・ピカソとパウル・クレーの絵画を中心に紹介する大規模企画展「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵」が1月2日より、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷区道玄坂2、TEL 03-3477-9413)で開催されている。
西洋近代美術の豊富なコレクションで知られる同美術館は、ノルトライン=ヴェストファーレン州知事がアメリカ人コレクターからクレー作品88点を購入したことをきっかけに、1960年代に設立。初代館長のヴェルナー・シュマーレンバッハは、キュビスムやシュルレアリスムの作品や米画家ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホルなどの作品にも目を向け、同館のコレクションを発展させた。その後1986年に現在の建物が開業。2002年には1980年以降の美術作品を展示する分館「K21(21世紀の美術)」をオープンし、本館は「K20(20世紀の美術)」の名称でリニューアルオープンした。
同展では、美術館(K20)が現在改修工事で休館していることをきっかけに、日本で初めて同館の所蔵作品を大々的に紹介する。コレクションの中で特に高い評価を受けているピカソ(6点)とクレー(27点)の作品を中心に、仏画家アンリ・マティスやマルク・シャガール、ドイツ近代美術を代表する画家フランツ・マルクなど23作家計64作品を一堂に展示する。
「リズミカルな森のラクダ」(1920年)は、40歳を迎えたクレーが初の大回顧展を成功させた年に描いた代表作のひとつ。管弦楽団でバイオリン奏者を務めるなど音楽の才能にも恵まれていたクレーが、音符のような木々の中を歩くラクダを描いた。当時の恋人マリー=テレーズがモデルとされるピカソの作品「鏡の前の女」(1937年)は、2つの別々の顔をひとつにまとめた作品で、1930年代後半のピカソが作品に用いた典型的な作風。
このほか、マルク・シャガールの作品「バイオリン弾き」(1911年)は、ロシアからパリに出てきたシャガールが共同アトリエ「ラ・リューシュ(蜂の巣)」で活動していたころに描いた作品。故郷ヴィテブスクの流しのバイオリン弾きがいる情景を描いた同作には、ファン・ゴッホの色彩やキュビスムなど同時代のさまざまな作風が取り入れられている。スペインの画家ジョアン・ミロが友人のために描いた「リズミカルな人々」(1934年)や、馬や牛、トラなどの動物が登場する作品を多く残したフランツ・マルクによる白、赤、黄の猫を描いた作品「3匹の猫」(1913年)なども展示する。
開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで)。入館料は、一般=1,400円、大学・高校生=1,000円、中・小学生=700円。3月22日まで。