国際的に活躍する中堅作家を紹介する企画展「ランドスケープ-柴田敏雄展」が12月13日より、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099)2階展示室で開催される。
昨年スタートした同展は、同館が重点的に収集する写真家の個展や新進作家のグループ展とは異なり、「中堅」として活躍する写真家にスポットを当てたもの。第1回は、2000年に第25回木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家、鈴木理策(りさく)さんの個展「鈴木理策:熊野、雪、桜」。今回は、風景写真を撮り続ける写真家、柴田敏雄さんのこれまでの作品を紹介する。
1949年、東京都生まれ柴田さんは、東京芸術大学で油絵や版画を学んだ後、1975年にベルギーへ留学。留学中に写真を始めたことをきっかけに、帰国後も本格的な写真制作に取り組む。1980年代後半から、独特の視点で風景をとらえた作品で注目を集め、1992年に第17回木村伊兵衛写真賞を受賞。
一貫してモノクロの風景写真を撮り続けていたが、2005年ごろからカラー作品も手掛けるなど、活動の幅を広げてきた。大判カメラを使い、プリントの「精密さ」や「美しさ」に徹底してこだわる柴田さんの作品は、ニューヨーク近代美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館などにも収蔵されるなど世界でも高い評価を受けている。
同展では、1980年代から現在までに発表した作品の中から、計74作品を紹介。展示は「夜景」「モノクロ」「カラー」の各カテゴリーで構成し、「理想の写真の質感に一番近い」(柴田さん)というモノクロ写真や、過去3年間に制作したカラー写真、縦100センチ×横125センチの特大プリント4作品なども展示する。
会場では、柴田さん自身が作品の背景やエピソードを紹介した音声ガイドを用意。柴田さんが書き下ろした28作品の説明文を作品と併せて紹介する。今月23日、来年2月1日には写真評論家の飯沢耕太郎さん(23日)らをゲストに招いた講演会を開催。柴田さんによる新春アーティストトークを、来年1月2日、3日にそれぞれ開催する。
開場は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜休館(12月29日~来年1月1日まで休館)。入場料は、一般=700円、学生=600円ほか。来年2月8日まで。