大型ビジョンで「視聴率」実験――渋谷駅ハチ公口スクランブル交差点、「QFRONT」(渋谷区宇田川町)壁面の大型ビジョン「Q’s EYE」で10月より、ビジョンを見た視聴者数を自動分析し、性別、年齢別にカウントする実測実験が始まった。同ビジョンのメーカーで、国内屋外ビジョンの4分の1以上のシェアを占めるビジョン開発・販売のアビックス(横浜市)が試験的に導入した。屋外大型ビジョンでの視聴者数の自動カウントは世界初という。
渋谷ハチ公前交差点では複数の大型ビジョンを連動させた映像放映も
ビジョン設置当初から取り付けているカメラ2台を使い、映し出した映像を専用ソフトで解析、歩行者のうちビジョンを一定の間(1~数秒間)見た人の性別、年齢を分析する。屋外ビジョン広告の展開が注目される中、TV広告などと同様、視聴者を特定することで広告価値の向上につなげる。手始めとして同ビジョンでの実測実験を行った後、全国で導入を進める。
分析には、イスラエルTruMedia社の専用ソフトを使う。リアルタイムで視聴者数をカウントし、その後のサーバー解析で、通行人の顔の特徴から性別と年齢、時間帯・コンテンツ別の視聴者数を計測する。30秒以内に同一人物が抽出エリアに入った場合はカウントせず、重複を防ぐ。映像は現地のボックス内で認識・処理後、数値分析のデータのみをサーバーに送信し「個人情報を保護する」(同社)という。
Q’s EYEでは設置当初からビジョンを運営するキューフロント(同)が手作業で視聴者をカウントしてきた。新システム導入で視聴者情報を広告主に公開し、ビジョンの広告価値を高める。専用ソフトについてアビックス広報担当者は「日本人の顔の特徴をとらえ、正確な分析が得られると確認した」と解析の精度に自信を見せる。
10月から約3カ月間実証試験を行い、来年以降、自社以外のビジョンも含め都内や地方の都市部を中心に、導入を加速する計画。