表参道ヒルズ裏手のビルの一角に4月1日、ミッドセンチュリー北欧のビンテージテーブルウエアや家具を扱うインテリア・雑貨店「Elephant*(エレファント)」(渋谷区神宮前4、TEL 03-5411-1202)がオープンした。
開いたのは、元グラフィックデザイナーで2年前からオンラインで北欧テーブルウエアの販売を始めた吉田安成さん。数年前に訪れたショップの店頭でビンテージの北欧モダンデザインに触れて以来その魅力に引き込まれ、グラフィックデザインの仕事の傍らネットショップを立ち上げた。
2年目を迎えた今年、「ショップを経営する知人から表参道の物件を紹介してもらった」(吉田さん)ことをきっかけに、リアルショップのオープンにこぎ着ける。場所は表参道ヒルズ裏手の閑静な住宅街にあるマンションの1室。ショップでは、これまでネットでは展開しきれなかった家具やビンテージ以外の現行品の取り扱いも始めた。
淡い色調の木目と白を基調にした10坪ほどの店内に並ぶのは、北欧モダンデザインの「黄金期」とされる1950~60年代に作られた商品の中から、フォルムや素材感、日常でも使える機能性などを考慮してセレクトされたビンテージ品の数々。
取り扱いも多い陶器のコーヒーカップ&ソーサーの中でも、安田さんの「お薦め」は、日本でも西武百貨店の包装紙をデザインするなど20世紀モダンクラフトの重要人物の1人、スティグ・リンドベリがデザインしたGustavsberg社の「Terra Coffee C&S」(15,750円)。黒と茶のラインをハンドペイントで仕上げたカップ&ソーサーは「製造期間が3年と短くレアな商品」(吉田さん)。
透明容器の1つ1つ異なる「ゆがみ」が味わいのあるキャニスター(紅茶やコーヒーなどを入れる保存容器)は、1968年に作られたBoda社のもの。素材研究に熱心なデザイナー、シグネ・ペルソン-メリンさんの作風にもよく見られるコルク素材のふたもハンドクラフト感のある作品。価格は3990円~。
同じく1960年代、Boda社の灰皿「Glass Ashtray」(9450円)は、灰皿中央のロボットのモチーフを高温のガラスに手作業で型押ししたもので、ガラスの形状や厚みが異なる独特の風合い。シンプルな造形スタイルが主流だった当時のガラス工芸文化に新風を吹き込み、優秀な北欧デザイナーに贈られる「ルニング賞」も受賞したエリック・ホグランがデザインを手がけた。
現行品では、フィンランドのテーブルウエアブランド「Iittala(イッタラ)」や、デンマーク王室御用達ブランドとしても知られる「KAY BOJESEN(カイ・ボイセン)」のカトラリーシリーズなども扱う。
ターゲットは、「デザインやインテリアに興味のある男女」(吉田さん)。リアルショップを出したことで、「これまでウェブ上では伝えきれなかった個々の商品の持つ存在感、ショップの世界観をより明確に伝えられる」(同)と新たな展開に期待を寄せる。
営業時間は11時~20時。