2006年、中目黒にオープンしたオーガニック野菜スイーツ専門店「パティスリー・ポタジエ」(目黒区上目黒2、TEL 03-6279-7753)が4月14日で2周年を迎えた。
同店は、線路沿いに伸びる駅近くの「中目黒銀座商店街」に、2年前の同日にオープン。栃木県・宇都宮のオーガニック・ベジタリアンレストラン(現在は閉店)でシェフを務めた女性パティシエ、柿沢安耶(あや)さんが作る、トマトやルッコラなどの有機野菜を使った「ベジスイーツ」が話題を集めている。
東京生まれの柿沢さんは、学習院大学フランス文学科在学中から仏料理を学び、パティスリーやカフェに勤務。その後マクロビオティックなどの自然食へと造詣を深め、2003年宇都宮に自身の店を開いた。当時店でも出していた野菜スイーツが原案となったポタジエでパティシエを務めるかたわら、各地のホテルや団体に依頼され、プロジェクトへの参加や講演などで、「おいしい野菜の食べ方」を全国に広げて回っている。
ポタジエ開業2周年を迎え、同14日、自身4冊目となるレシピ本「パティスリー・ポタジエのナチュラル野菜スイーツ」(講談社刊)を発売した。本は、春夏秋冬と四季の野菜を使ったオリジナルレシピ。旬の野菜特有の甘みや栄養分の高さを生かしたシーズンレシピに加え、定番スイーツに野菜をプラスしたものや、野菜加工食品を使ったレシピなど、店頭にも未登場の約50のレシピを披露している。
柿沢さんは「どれも家庭で簡単に作れるもの。野菜の新しい食べ方を提案することで魅力を広げたい」と話す。キャベツの語源の由来にもなった「シュー」にかけて、カスタードの具材にキャベツを使ったシュークリームも、キャベツの風味を残しながら独特な甘みが広がるやさしい味。意外性がありながらも、「食べやすい」をモットーにベジスイーツ作りを続けてきた。
ブランド人気も広がり、百貨店からの出店依頼も相次いでいるが、同店を経営するイヌイ(目黒区)の柿沢直紀社長によると「今はすべてお断りしている状況」。「農場で作られた野菜がスイーツとなり、店に並び消費者の手に渡る。その『ストーリー』を大事にしていきたい」(同)。今後はメディアやイベントなどを通じた呼びかけで、食育や農業そのものの啓蒙につながる企画を仕掛けていきたいという。
ポタジエブランドのベジスイーツが常時手に入るのは、中目黒店だけ。オープン当初からの看板メニューで小松菜入りのスポンジ、トマトを合わせた「グリーンショート・トマト」(420円)や、ココア風味のタルトと、ニンジン、マンゴージャムで作る「キャロットチョコフラン」(451円)などのメニューが人気となっている。ロールケーキやパウンドケーキ、焼き菓子などは通信販売も。
営業時間は10時~20時。
レシピ本にも掲載された「キャベツのシュークリーム」(関連画像)パティスリー・ポタジエ中目黒に無添加オーガニック「野菜ケーキ」専門店(シブヤ経済新聞)