速水御舟作品など優れた日本画を所蔵することで知られる「山種美術館」(山種美術財団=千代田区)は3月23日、来年秋までに広尾に美術館を新築し、施設を移転すると発表した。
これまで大規模な文化施設のなかった広尾に、約1,800点の日本画を収蔵する国内随一の「日本画専門」美術館が拠点を移すことになった。「新生」山種美術館が建設されるのは、恵比寿から六本木通りに向かう駒沢通り沿い、都立広尾高校向かい。地上6階・地下1階の新築ビルのうち、地下1階~地上1階が美術館施設となる。美術館部分の延べ床面積は1230.95平方メートル。
外観は、短冊状に連続する自然石の「重なり」が特徴。恵比寿方面から歩くと、石の重なりの中に1階部分だけが見え始め「自然に内部へと導かれるような」(設計担当の日本設計)になるという。所蔵作品を主役とし、「都心にありながらも落ち着いて過ごせる」(同)空間を目指す。
施設は全体を通じ、「バリアフリー」設計を採用。地下1階は、現在の展示スペースの約2倍となる総面積約750平方メートルの展示室。企画展示室(518.68平方メートル)では、天井高や総長100メートル以上の壁面(可動壁使用最長時)、最新照明設備などを生かした企画展を展開。常設展示室(33.53平方メートル)では、日本画巨匠・速水御舟のコレクションを中心に、年6回~7回の展示替えを行うという。
1階は、ミュージアムショップや休憩スペースを開設。明るい印象のフロアには、レクチャーやパーティーなどのイベントも開催できるロビーを併設する。ミュージアムショップは「デザイン性あふれる品ぞろえ」(同館)を予定。
同美術館では、施設の移転・新設で「創設時の理念を継承しつつ、これまで以上に身近に楽しめる美術館を目指す」としている。約10年にわたり営業を続けてきた千代田区三番町の施設は、来年7月に終了予定の「上村松園/美人画の粋」展をもって一時休館する。
ミュージアムショップなどを開設する1階イメージ(関連画像)山種美術館、移転計画が明らかに-広尾に新美術館建設へ(シブヤ経済新聞)山種美術館