映画「カルラのリスト」公開-旧ユーゴ国際刑事法廷に迫る

映画「カルラのリスト」より

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 旧ユーゴスラビア紛争の戦争犯罪人を訴追する「旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)」で検事を務める女性国連検察官、カルラ・デル・ポンテさんに迫ったドキュメンタリー映画「カルラのリスト」(マルセル・シュプバッハ監督、配給=アップリンク)が11月10日より、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)ほかで公開される。

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 大量虐殺などの残虐行為が後を経たない国際紛争で、最大の犠牲者となるのはいつも兵士ではなく民間の女性や子どもたちだった--同作では、残虐行為を行った戦争犯罪人を探し出し告発する「国際刑事法廷」にドキュメンタリー史上初めてカメラが踏み入れ、被害者たちの悲痛な叫びにも耳を傾けた。

 ドキュメンタリーの中心となるのは、国際安保理によって1993年に設置された「旧ユーゴ国際刑事法廷」(本拠地はオランダ・ハーグ、通称=ICTY)。同法廷では、1991年以降の旧ユーゴスラビア領で犯された重大な国際人道法違反の責任者を訴追。検察官を務めるカルラ・デル・ポンテさんは、スイスで唯一24時間態勢でボディーガードが付く公人。1994年に同国司法長官に就任し、1999年にICTYと「ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)」の検事に任命されて以来、犯人逮捕のため国家首脳に取り合うなど世界を飛び回ってきた。

 取材を許されたカメラは、検察官をはじめとするチームの仕事ぶりや危険と賭けに満ちた舞台裏を捉える。一方で、事件から10年が過ぎたボスニア紛争スレブレニツァ大量虐殺による被害者女性たちのインタビューも織り交ぜ、国際社会正義に対する疑いの声も救い上げた。

 東京都写真美術館では同4日、作品の公開を記念し、現在反政府デモが起き政府軍との戦いが続くミャンマーに焦点を当てたシンポジウム・先行上映会を開催。今年10月1日に日本が加入した国際刑事裁判所(ICC)の今後についてなどの議論が交わされた。

 上映会場は1階ホール。休館日の月曜は渋谷「アップリンクX」(宇田川町、TEL 03-6825-5503)で上映を行う。

映画「カルラのリスト」(公式サイト)

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