渋谷文化村通り沿いの大型書店「ブックファースト渋谷店」(渋谷区宇田川町、TEL 03-3770-1023)の閉店が10月14日に迫り、近隣住民や常連客からは閉店を惜しむ声が出ている。
1998年に開業した同店は、渋谷駅周辺で最大規模の6フロアを展開、雑誌や専門書など約70万冊を取り扱ってきたが、入居ビルの建て替えに伴い運営元の阪急電鉄グループが今年4月に閉店を発表。渋谷エリアでは駅近くの「大盛堂書店」が2005年に閉店するなど大型書店の閉鎖が相次ぐ中、唯一の総合書店の閉店に、ネット上などでも閉店を惜しむ声が続出していた。
移転先となる「渋谷文化村通り店」は、「旭屋書店渋谷店」(2005年9月閉店)があった道玄坂下交差点のビル地階に同18日にオープンする。閉店が決まった店舗のエントランスや店内各所には、来店客向けに閉店と移転を知らせるポスターが発表後から掲出されているが、閉店を約1週間後に控えた同5日にも、掲出されたポスターに見入り立ち尽くす客の姿が多く見られた。
東横線沿線に住み、渋谷で書店を利用する際には必ず同店を使っていたという40代の女性は「友人から閉店の話を聞いてがっかりした。場所や建物の雰囲気も好きだったのに」と残念がる。「ここに来れば何かある。本だったらここ」と決めて通っていたこともあり、思い入れも強かったようだ。
職場が近所のため週1回以上は同店を訪れていたと話す26歳の女性会社員も「閉店を知ってショックだった」と口をそろえる。帰りがけに1階の雑誌コーナーにぶらりと立ち寄ることも多く、「ほかの店舗と違い入り口が道路に面しているので入りやすかった」という。閉店後は「渋谷からも近いので今後は新宿の書店を利用すると思う」と話していた。
一方、近隣に住む住人からは「困る」という切実な声も。犬を連れて散歩中に立ち寄ったという女性(30代)は「閉店後にどの書店に行けばいいか分からない」と戸惑いの表情。「歩ける範囲で使いやすかった。これからはインターネットに頼ってしまいそう」と本音も。「渋谷は移り変わりが激しい場所なのでよくあること」としながらも、今回の件はショックだったという。
東京随一のターミナル駅ということもあり、店舗には近隣で働く人や住民以外の利用客も多く訪れた。4~5年ぶりに立ち寄ったという36歳の男性(会社員)は、閉店を知り絶句。「渋谷の大きな書店、と言ったらここしかイメージがなかった」と話す。転勤族で全国を転々としてきたという同男性は、「気になる本があれば取り寄せてもらうほど」の本好き。「久しぶりに寄ってみて雑誌のバックナンバーや珍しい書籍の品ぞろえに感心していたのに」と閉店を惜しんだ。
同店によると、閉店にちなんだキャンペーンやイベントは今後も特に予定していないという。店舗が入居する地下2階、地上7階の同ビルは11月にも解体作業が始まる。ブックファーストの首都圏での「新旗艦店」は来年11月、現在新宿に建設中の「モード学園コクーンタワー」地下2階~地上1階にオープン予定。
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