東急電鉄が進める渋谷駅東口・東急文化会館跡地の再開発事業で、地下化が予定されている新「渋谷駅」の設計が「地宙船」をイメージしたユニークな吹き抜け構造になることが明らかになった。
同駅では、来年6月に開業予定の東京メトロ副都心線と2012年までに相互乗り入れを始める。東急電鉄は駅施設を含む地上33階、地下4階(塔屋1階)の複合高層ビルを建設する計画で、渋谷駅周辺の活性化に向けて新生渋谷駅をアピールしていきたい考えだ。
デザインは、建築家の安藤忠雄さんが担当する。3層構造の駅は「地中の宇宙船=地宙船」をイメージ。下層部のホーム頭上が大きな吹き抜け空間となり、上層部の改札階などから下層部を見渡せるようになる。駅全体は「楕円のカプセル(=地宙船)が地下に沈んだような構造」(東急電鉄)で、ホーム天井部分が球体の「船底」にあたるという。
楕円の直径は約80メートル、短径は約24メートル。ホームを見下ろす吹き抜け部分は高さ約2メートルのガラスで周囲を囲い、安全性も考慮する。吹き抜け構造は「天然ダクト」の役割を果たすことで自然換気ができるのも特徴。駅に通じる地上施設の吹き抜け空間とも連動し、環境負荷を大幅に軽減するという。
駅ではこのほかにも「地宙船」の壁面で放射冷房システムを採用。自然エネルギーの活用などで、ビル全体でも環境に配慮した開発を進めていく方針。2012年の完成を目指す同ビル内には、10フロアから成る大規模な店舗区画や国内最大規模のミュージカル専用劇場が入り、開業後は多くの人出が予想される。「玄関口」となる新生渋谷駅の動向に今後注目が集まりそうだ。
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