チェコの奇才、ヤン・シュヴァンクマイエル夫妻の大規模展

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」ポスタービジュアル

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 ラフォーレ原宿(渋谷区神宮前1、TEL 03-3475-0411)は8月25日より、チェコの奇才、ヤン・シュヴァンクマイエルさんと妻エヴァさんの大規模企画展「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 ~アリス、あるいは快楽原則~」を開催する。

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 1934年チェコスロバキア・プラハ生まれのシュヴァンクマイエルさんは、映像作家、映画監督など多彩な分野で活躍する前衛芸術家。1964年に発表した自身初の短編に続き、映像分野では80年代に入り長編にも進出。「シュルレアリスム(超現実主義)」を体現する独創的な作風で注目を浴び、2005年には長編「ルナシー」でアカデミー賞外国映画部門にノミネートされた。

 シュヴァンクマイエルさんの代表作として知られるのが、ルイス・キャロル原作の児童文学「不思議の国のアリス」を実写版で映像化した「アリス」(1987年)。同作をはじめ、数々の映像作品の中で登場する美術や衣装を担当したのは、2005年に急逝するまで公私にわたってパートナーだったエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーさんだった。同展では夫妻の合同作品展として、これまでに手がけてきたおよそ200点の作品を一堂に展示する。

 展示作品はシュヴァンクマイエルさん自らが選定。会場をキーワードによって異なる9つの区画で構成し、作品を通じて夫妻の「軌跡」を振り返る。第1展示室「博物誌」ではシュヴァンクマイエルさんが創り出した架空生物の図譜や標本などを展示。第2展示室には影響を受けた画家ジュゼッペ・アルチンボルドへのオマージュ作品を並べる。

 展示室「触覚主義」は、70年代映画制作が制限される中、視覚ではなく「触覚」で訴える技法を駆使した夫妻の作品を紹介する区画。展示空間にはこのほか、「夢とエロティスム」「物語」など夫妻が生涯を通じて模索したシニカルなテーマが見え隠れする。終盤の第8展示室では映画「アリス」に登場したキャラクターや美術セットを展示。シュヴァンクマイエルさんが江戸川乱歩「人間椅子」のために描き下ろしたイラスト原画も公開する。

 シュヴァンクマイエルさんは同展の公開に向けて「幼少期と夢は、想像力を生み出す基本的な源泉の一つである。(中略)このアリスの鏡の国では、快楽原則、すなわち際限ない自由が君臨しているのだ」とコメントを寄せている。会場では、ファイングラフ2部作入りのDVDプレミアムボックス(18,900円)やシュヴァンクマイエルさんが挿絵を手がけた書籍「人間椅子」などのグッズも販売予定。

 入場料は一般=800円、学生=600円。9月12日まで(最終日は18時まで)。

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