温泉くみ上げ施設の爆発事故を受け営業を休止していた渋谷・松涛の女性専用スパ「シエスパ(SHIESPA)」(渋谷区松涛1)が営業再開を断念し、解体・取り壊しされることが7月10日、明らかになった。
運営会社のユニマットビューティーアンドスパと同ビルを所有するユニマット不動産(港区)が連名で発表したもので、近隣住民らに向けた書面で「事故による被害の重大さと近隣の皆さまへの多大な影響を真摯(しんし)に受け止め、営業を再開しないことを決定した」などと説明した。
「松涛温泉」の触れ込みで開業した渋谷随一の大型スパが、開業からわずか1年半で廃業に追い込まれた。同スパが開業したのは2006年1月。地下1階地上8階の施設には、洞窟(どうくつ)風呂を併設した屋上露天風呂や、館内着のまま利用できる低温サウナなど複数のスパを完備し、4階と5階には寝泊まりもできる半個室ブースも設けていた。
利用者は入会費=525円で会員になると、3千円以下の料金で施設内のほとんどの設備を利用できるため、仕事帰りに立ち寄るOLなどの利用者も多かった。施設が建つ渋谷・松涛エリアは閑静な住宅街のイメージの一方で、近年は個性的なセレクトショップやカフェなども出店するなど、「大人」の女性客をターゲットにした商圏としても注目されていた。
ユニマット不動産によると施設全体の初期投資額はおよそ30億円。事故が起きた別棟も警察などによる現場検証終了後、近く撤去される予定で、本館の取り壊しについては今後「警察はじめ関係機関との相談で、詳しい解体日程を決める」という。