エキサイト(渋谷区恵比寿4)と伊藤忠商事(港区北青山2、以下伊藤忠)は3月29日、無線LANサービス「FON」を世界展開する英フォン・ワイヤレス(本社=ロンドン)と資本提携すると発表した。
2005年11月スペインで立ち上げられたFONは、公衆無線LANの専用ルーターを配布・販売し、会員向けにインターネットのアクセススポットを提供するコミュニティープロジェクトとしてサービスを開始。昨年2月には米グーグル、スカイプ・テクノロジーズなど数社から1,800万ユーロ(約26億円)の出資も受けている。
日本では昨年8月に日本法人「フォン・ジャパン」(目黒区)を設立。エキサイトは国内での動きが本格化した12月に業務提携を発表し、自社のインターネット接続サービスや提携先のブロードバンド(BB)カフェとの連携、ポータル会員向けのプロモーションなどで同サービスを支援してきた。
今回の資本提携では、英フォン・ワイヤレスにエキサイト、伊藤忠がそれぞれ出資するかたちで、フォン社の第三者割当増資の一部を両社が引き受ける。フォン・ワイヤレスによると、今回の第三者割当増資額は合計1千万ユーロで、グーグル、スカイプなども出資者に名を連ねているという。エキサイト、伊藤忠の出資額は明らかにしていない。
資本提携後、エキサイトと伊藤忠はFONの日本国内での認知拡大・普及を目指し共同で事業展開に乗り出す考え。29日付けの発表で両社は、エキサイトID・パスワードを持つ会員へのFONサービス開放や、コミュニティーサイトの企画・運営、ネットワーク・対応機器拡大のためのパートナーシップ構築などを具体的な事業計画として挙げている。
現在国内では無料の無線LANルーターの普及がメーンとなっているFONプロジェクトだが、今後の有料サービス開始に向けて、エキサイトでは会員向けの料金決済サービスでの協業も視野に入れている。
FONは現在世界150カ国でサービスを提供、会員数は約34万人、アクセスポイント約13万カ所を保有するという。日本国内の会員数は約18,000人、アクセスポイントは約9,500カ所(3月26日現在)。