映画配給を手がけるアップリンクは1月27日より、シアター併設の直営複合施設「アップリンク」(渋谷区宇田川町、TEL 03-6825-5502)で音楽ドキュメンタリー映画の特集上映イベントを開催する。
アップリンクが初めて映画を配給したのは、ロンドン出身デレク・ジャーマン監督によるイメージ・フィルム「エンジェリック・カンヴァセーション」(1985年)を日本向けに公開した1997年。主宰の浅井隆さんを中心に主に「アート系」と呼ばれる映像作品に着目し、それまで日本国内で広く知られることのなかった作品を世に送り出してきた。
「活動は徹底して『多様性』を標榜してきた」と主宰の浅井さんが言うように、時代の移り変わりとともに最近は「ドキュメンタリーを多く配給するようになった」(浅井さん)という。最初の配給から20周年を迎える今年、記念企画として「ジャンルや地域にこだわらずに集めた」(同前)という音楽ドキュメンタリーフィルムの特集上映を行う。
特集タイトルは「MUSIC DOC.FES.(ミュージック・ドッグ・フェス)」。欧米やアジア、南米など各国から計13作品を集めた。ジャック・ジャンセン監督の「愛しきベイルート/アラブの歌姫」(2003年、オランダ=写真)は、中東レバノンの首都ベイルートで内戦が巻き起こる中、同地に滞在し歌い続けた女性歌手、ファイルーズさんを中心に現地の人々を追った作品。2004年、米・シンガポール合作の「アート・オブ・トイ・ピアノ/マーガレット・レン・タンの世界」(エヴァンス・チャン監督)には、玩具のピアノ「トイピアノ」での演奏を追求し続ける女性ピアニストが登場する。
特集ではほかに、既存楽器のアレンジや楽器以外のもので音を奏でるなど「実験的」な音楽を発表し続けた現代美術家、故ジョン・ケージさんや、米人気歌手のアル・グリーンさんを追ったドキュメンタリーなど、各分野や時代の「キーマン」となる人物も登場する。
会期中は、米ヒップホップの人気スター、カニエ・ウェストさんら出演の「MIXTAPE(ミックステープ)」の公開記念企画として、DJによるワークショップイベント「ミックステープの作り方」を同27日に行うほか、来日監督らによるトークイベントも開催する。2月23日まで。