大学生や専門学生が「夜」のアップルストアに集まり、学園祭さながらのパフォーマンスや研究活動のプレゼンテーションなどを披露するイベント「アップルストア・カレッジナイト」の活動が日本各地のアップルストアで本格化している。
アップルコンピュータ(新宿区)が学生に向けて会場や機材、人材を無料提供する自主企画。卒業・入学シーズンを間近に控え、今年1月から活動を強化している。会場として直営店のアップルストアを無料開放、学生が持ち込む企画に対するアドバイスや機材レンタル、会場の設営などさまざまな面で支援は惜しまない。
1月18日20時、アップルストア渋谷店(渋谷区神南1、TEL 03-6415-3300)に一般客がいる中、店内のスピーカーから機械音のノイズが大音量で流れ始めた。渋谷店で4回目となるカレッジナイトを開いた常連「bend++(ベンド・プラスプラス)」による「実験音楽」の演奏だ。
ベンド・プラスプラスは、多摩美術大・武蔵野美大・東京造形大・東京工芸大の4大学の学生が集まり、メディアアート、サウンドアートを研究する自主サークル。一昨年の夏に発足し、六本木のクラブ「スーパーデラックス」などでステージを踏んできた。
この日は4大学から6組のグループが参加し、楽器や機材を分解したり玩具を組み立てたりして作ったオリジナルの「楽器」を手に、各々のパフォーマンスを披露した。公演時間は閉店までの約1時間。学生らしい柔軟な発想から繰り出されるユニークな音に、足を止めて見入る客の姿も見られた。
1組目で登場した武蔵野美大の「ムサビックバンド」は、演奏の中に独特のマイクパフォーマンスと舞台劇のような要素を取り入れた個性的なステージを披露。昨春から同サークルに参加し、アップルストア渋谷での公演は2回目になるという同大2年生の出雲美智子さんは、カレッジナイトについて「お金がかからずホームページでも告知してくれる。大学生にとってはありがたい」と評価する。「アップル製品は美大生にとっては身近。私たちが買って、場所を提供してもらう。いい『サイクル』になっているのではないか」とも。
同じく同サークルを主宰する多摩美術大の久保田晃弘教授も、「学生たちの活動が世の中にどう見られるかが重要。公の場でパフォーマンスをできるのは貴重な機会」とイベントを評価する。
カレッジナイトに参加した学生とイベント鑑賞者には終了後、iTunesで1曲無料ダウンロードできる「iTunesカード」を進呈する特典も。カードにはカレッジナイトオリジナルのイラストが描かれている。同社広報の中谷道子さんは取り組みについて「学生とアップル製品の『接点』になる場。いろいろな学生に参加してもらいたい」と話している。
アップルストア・カレッジナイトへの応募受け付けは、アップルストア公式サイトと各店店頭で行っている。