12月28日、ラフォーレミュージアム原宿(渋谷区神宮前1)で写真家、篠山紀信さんの新作ヌード写真展「篠山紀信の美学」が始まった。巨匠・篠山さんが「新次元」のヌード表現に挑んだ新作展。女優でタレントの夏目ナナさんをモデルに、デジタル写真に焼き付けた意欲作を披露する。
撮影時には「神が降りた」(篠山さん)という今回の作品群。女優業を続けてきた夏目さんが「ひとつの節目」として自ら撮影を志願したことがきっかけだったという。新たなヌード表現について、2年ほど前から構想を続けてきた篠山さん。「作品のためならすべての髪を剃り上げてもいい」という夏目さんの強い意志と出会い、プロジェクトが動き出した。
剃髪後、「目力、少年性が強く出て、ほかの惑星から来た『レプリカント』のようになった」(篠山さん)という夏目さんとの撮影は、わずか4日間で終了。篠山さん自身「10年に一度」という渾身の作を撮り下ろした。会場では、大型の作品を含め約40点を披露。ラフォーレ原宿では、これまでタブー視してきた「ヌード」を同展で初めて「解禁」した。
同27日にミュージアムで行われたオープニングレセプションには、篠山さん、夏目さんの両名も出席し、撮影時のエピソードや感想を打ち明けた。篠山さんは終始夏目さんを絶賛。白い着物姿で登場した夏目さんも「髪を剃って邪念が取れた。入ったら抜け出せないほど力のある作品」と軽快な関西弁で応じた。
会場では同13日に発売された写真集「AESTHETICS by KISHIN SHINOYAMA」(新潮社刊)も併せて販売。展示作品のオリジナルプリントも販売するという。1月6日にはトークイベントも開催。イベント鑑賞料は1,500円。展覧会入場料は一般=700円、学生=500円ほか。1月11日まで。(写真=会場風景)
篠山さんは1940年東京生まれ。大学在学中から頭角を現し、1968年の独立後は宮沢りえさんら多くの著名人を写し出すとともに、「激写」「シノラマ」などの新表現に挑戦し続けてきた。近年ではデジタルカメラによる写真・映像作品「digi+KISHIN(デジキシン)」も話題に。