三島由紀夫を被写体にした作品など、独特の感性で撮り下ろす前衛的な作品で知られる現代写真家、細江英公(えいこう)さんの個展「球体写真二元論 細江英公の世界」が12月9日より、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099、以下「写美」)で開催されている。会場は同館2階展示室。
1933年に山形県で生まれ、幼少期を東京で過ごした細江さんは、15歳で自身のカメラを購入した3年後、18歳の若さで「富士フォトコンテスト」最高賞を受賞。これを機に写真家の道を志し、1960年代にかけて頭角を現すことになる。作品は「肉体と性」をテーマにしたものなど、その多くが前衛的な作風で知られる一方、デビュー作をはじめとした「ナイーブ」な側面も併せ持つ。
同展では、1963年、当時人気の絶頂だった三島由紀夫のヌードを撮り下ろして話題を呼んだ「薔薇刑」や、日本各地の土俗的な世界を独自の感性で切り取った「鎌鼬(かまいたち)」(1969年)などの代表作に加え、写真絵本「たかちゃんとぼく」「おかあさんのばか」2冊も併せて展示し、細江さんの世界観に迫る。展示作品、資料は計約200点。
会場では、作品集「写真家 細江英公の世界」(青幻舍刊)と、「おとこと女」(復刻版、ナディッフ刊)をそれぞれ販売。来年1月14日には、2階カフェで細江さんのトークイベントも開催する(展覧会チケット・ドリンク付き、1,500円)。写真展の鑑賞料は一般=500円ほか。1月28日まで。(写真=「薔薇刑」♯32、1961年)