タワーレコード・グループのナップスタージャパン(渋谷区桜丘町)は10月3日、青山・スパイラルで会見を行い、同日22時にスタートする月額定額制の音楽配信サービス「ナップスター」の概要を明らかにした。
タワーレコード(本社=品川区)は昨年10月、米ナップスターとのジョイントベンチャーとしてナップスタージャパンを設立。サービス開始に向けて約1年間準備を進めてきた。ナップスターは現在、米国をはじめカナダ、イギリス、ドイツでサービスを展開している。日本向けにローカライズされたサービスでは、店頭や自社フリーマガジン、Eコマースサイト「@TOWER.JP」などタワーレコード・グループが持つ各メディアと全面的に連動し、日本でのユーザー獲得に乗り出す。
ナップスターの基本サービス「ナップスター・ベーシック」ではまず、専用のアプリケーションをダウンロード後、月額1,280円を支払うと、登録されている約150万曲の楽曲を無制限に聴くことができるもの。楽曲はハードディスク自体にダウンロードも可能で、ネット環境のない場所でも利用できる。また、月額1,980円を支払うと、基本サービスに加え対応端末に音楽を転送できる「ナップスター・トゥー・ゴー」を無制限で利用できるサービスも。楽曲を曲単位やアルバム単位で購入できる「ナップスター・アラカルト」では、1曲あたりの最多価格で、洋楽=150円、邦楽=200円で、それぞれ楽曲購入できる。各サービスの決済方法は、クレジットカード(4社)とプリベイドカードの2種類。
配信される楽曲データはWMA形式で、サービスはマイクロソフトが提供するWindowsメディアテクノロジーに対応、PCやそのほかの端末など1アカウントで最大3台まで使える。サイトでは、タワーレコードの各メディアと連動し、新旧アーティストの特集や新人アーティスト紹介、ライブ情報などのトピックスといったコンテンツを随時更新しユーザーの誘導を図るほか、タワーレコード・バイヤーや自社フリーマガジンの編集担当者などが楽曲をセレクトしたオリジナルのプレイリストを流す専用チャンネルも用意する。
開始当初の配信楽曲は、洋楽=9割以上、邦楽=1割弱の構成比で、洋楽・邦楽の楽曲数はそれぞれ、定額=148万曲(洋)・2万曲(邦)、アラカルト=141万曲(洋)・9万曲(邦)。会見に参加した米ナップスターのPaul Greenberg取締役co-COOによると、同日現在ライブラリーに登録されている楽曲数は「190万曲を超える」という。音源提供に参加するのは、東芝EMI、ソニー、BMGジャパン、ユニバーサルなどの大手レーベルを含む276社。端末では、NTTドコモのF902is(富士通)をはじめ、東芝やアイリバー、ビクターなど5メーカー計26機種がサービスに対応する。
ナップスタージャパンCEOを務める伏谷博之タワーレコード社長(写真)は、ナップスタージャパン設立の背景について「店頭中心のサービスに加え、時代に合ったサービスをと考えた」と話し、「(タワーレコードは)音楽配信で倒れるような会社ではない。今後も音楽の『素晴らしさ』を伝えていく環境を作っていきたい」と意欲を見せた。米ナップスターのBrad Duea代表は、「日本の消費者は電化製品などにおいても世界のトップバッター」とし、「モバイルとの提携ではNTTドコモと全面協力した。このモデルは今後世界でも採用されるだろう」と語った。サービス開始後、3年間で会員数100万人、半年で月間100万ダウンロード(アラカルト)を目指す。
ナップスタージャパンではサービス開始に伴い、全国のタワーレコード主要17店舗にタッチ&トライコーナーを開設、うち渋谷店などの大型店舗では、専用ラウンジを開設し、5台~7台のPCや対応端末で体験サービスを行う。渋谷店では同3日から9日まで、エントランスで2週間フリートライアルカードを配布するほか、ナップスターのキャラクター「ナップくん」人形が入ったUFOキャッチャーを設置する。渋谷駅・田園都市線の地下2階コンコースでは、20個のイヤホンジャックにヘッドホン端末を差し込むと音楽を聴くことができる広告ボードも掲出。