根津美術館(南青山6)は施設の改築工事のため、5月8日より長期休館している。リニューアルオープンは2009年秋頃を予定。1954年(昭和29年)に竣工し、1964年(昭和39年)に増築、1990年(平成2年)に増改築された本館を取り壊し後新築するのに加え、老朽化が進んでいた収蔵庫の改築を行い、既存のイメージを踏襲した「最新の美術館」として新たに始動する。本館の設計は、国内外で活躍する建築家の隈研吾さんが担当し、展示室を従来の約820平米から約1.2倍となる約1,000平米へと増床するほか、最新の照明設備を採用、バリアフリーにも対応した施設になるという。収蔵庫は、大型地震などに備え免震構造へと改築する。着工は来月で、第一段階として2007年1月まで収蔵庫の改築を行い、第2段階で本館の新築に取りかかる。本館の再建には2007年6月~2008年6月の約1年を要し、美術館として実働させるために必要な約1年半の「乾燥期間」を経て、2009年秋に展示を開始する予定。東武鉄道の社長などを務めた初代・根津嘉一郎さんによって1941年(昭和16年)に開館した根津美術館は、自らを「青山翁」と号し茶事を行っていた根津さんが収集した中国商周時代の青銅具など貴重な茶の湯の道具を含め、絵画や書跡、彫刻、陶磁、漆芸などの東洋古美術品を収蔵している。現在の蔵品は7千点余りで、そのうち7点が国宝、84点が重要文化財、96点が重要美術品の指定を、それぞれ受けている。(写真=改築前の根津美術館外観、同館公式サイトより)
根津美術館