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アート作品「渋谷猫張り子」、渋谷・桜丘で公開 「復活」から1年3カ月

渋谷猫張り子と作者の現代美術家・吉田朗さん

渋谷猫張り子と作者の現代美術家・吉田朗さん

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 現代美術家・吉田朗さんによる立体作品「渋谷猫張り子」の展示が3月2日、渋谷サクラステージ(渋谷区桜丘町)SHIBUYA SIDEの3階通路で始まった。

渋谷サクラステージSHIBUYAサイト3階通路展示の様子

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 長い紆余(うよ)曲折を経てよみがえった同作品は2024年の正月に渋谷で復活展示され、多くの関心を集めた。今回の展示は、それ以来1年3カ月ぶりの公開となる。

 昨年の復活展示について、吉田さんが所属する「ユカリアート」(世田谷区)のディレクター・三潴(みつま)ゆかりさんは「NHKの放送の影響もあり、番組を見た幅広い年代の方々が足を運んでくださった。中には77歳の節目の年に来場し、『良い年になった』と喜んでいらっしゃる方もいた」と反響の大きさを振り返る。

 「渋谷猫張り子」は2020年、渋谷に開業した商業施設内に設置されたアート作品。渋谷の象徴である「忠犬ハチ公像」に敬意を表し、新たなシンボルとなることを目指して制作された。手がけたのは、「日本一の宝くじ売り場」として知られる西銀座チャンスセンターの招き猫「宝猫」を制作した吉田朗さん。設置から2年後の2022年、アーティストの許可なく作品が改変され、ラッピングシートが貼られるなど、オリジナルとは異なる姿に変えられてしまう事態が発生した。この問題が明るみに出ると、多くのアートファンが支持を表明し、署名運動が展開。その結果、1万筆を超える署名が集まり、作品は無事に吉田さんの手元へ戻ることになった。その後、7カ月にわたる修復作業を経て、2024年正月に渋谷ヒカリエでの展示で復活を遂げた。

 復活から1年3カ月を経た今回の展示場所は、2024年に本格開業した「渋谷サクラステージ」。「昨年の展示終了後、『次はどこで見られますか?』という問い合わせが多かった。ハチ公のように誰もが自由に、無料でアクセスできる理想の場所を探していたところ、昨年の展示をたまたま見に来ていた方から、新しく桜丘エリアにオープンした渋谷サクラステージを紹介していただいた」と三潴さんは経緯を語る。「前回は正月、今回は桜の季節と、縁起の良い作品だけに縁起の良いタイミングで展示できて良かった。桜で華やぐ桜丘エリアで、より多くの人に作品を楽しんでもらえたら」とも。

 今回は期間限定展示だが、将来的には渋谷での常設展示を目指しているという。「『ここだ』と確信できる場所が見つかるまで、焦らず慎重に決めたい」と、試行錯誤しながら適切な場所を模索していくという。

 吉田さんは「渋谷のさまざまな場所を歩いて、どこに設置できるかを自分なりに検証してきた。その中で、サクラステージは通路が広く、都心にありながら開放感がある点が魅力的だった。猫張り子は、ユーモラスな表情をしていて縁起のいい存在。これを見た人が元気になったり、少しでも楽しい気持ちになったりしてくれたら」と観覧を呼びかける。

 展示は3月26日まで。

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