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「渋谷サクラステージ」本格始動へ テナント一斉開業、JR新改札とも直結

「渋谷サクラステージ」SHIBUYAタワー(外観)

「渋谷サクラステージ」SHIBUYAタワー(外観)

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 渋谷・桜丘の大規模複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」(渋谷区桜丘町)の商業エリアに7月25日、新たに37店舗がオープンする。同18日、内部が報道陣に公開された。

404 Not Found

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 渋谷・桜丘エリア約2.6ヘクタールを一体的に整備する大規模再開発のランドマークとして昨年11月に完工した同施設は、東急グループを中心に行われている100年に一度といわれる渋谷駅周辺の再開発事業の一つ。東急不動産や地権者らが参画し事業を進めてきた。1920(大正9)年に渋谷駅が現在のエリアに移設されて以来、鉄道で分断されてきた桜丘町に、直結する改札口を望んできた地元民の「悲願」もあり、1998(平成10)年に旧再開発準備組合を設立してから約25年を経て開業に至った。

 同21日には渋谷サクラステージと駅東側を結ぶ新通路「渋谷駅南口北側自由通路」に面した場所に、JR渋谷駅の「新南改札」が、既存の新南口から約250メートル移転して新たに供用を開始。地下2階では、国道246号の下をくぐる「西口地下歩道」も同日開通し、国道246号との分断も大きく解消。地上・地下での歩行者ネットワークが整う。東急不動産によると、同施設完成以降の今年3月と、着工前の2019年3月の人流データを比較すると、桜丘エリアへの人流はすでに約143%増加し、1カ月間累計では人の流れが10万人以上増えているという。

 渋谷サクラステージは、39階建ての「SHIBUYAタワー」などで構成するSHIBUYAサイドと、30階建ての「SAKURAタワー」などで構成するSAKURAサイドなどの街区を展開。駅周辺再開発で最大面積となるオフィスや、渋谷駅直結で唯一の集合住宅、サービスアパートメント、子育て支援施設などが入る。

 18日に開かれた会見で東急不動産の星野浩明社長は、桜丘エリアについて、かつて住宅や個人経営の飲食店、楽器店、ライブハウスなどが軒を連ねていたことを挙げ、「『働く、遊ぶ、暮らす』全てのシーンがバランスよく配置されていたエリア」と話し、渋谷サクラステージは、そうした街の特性を引き継ぎつつ「集う人々と新たに訪れる人々が交わり、音楽やアート、スタートアップなど、新しい文化やビジネスが生まれる多様性にあふれたまちを目指す」と、同施設の「本格始動」を宣言した。
 SHIBUYAサイド地下2階~地上5階、SAKURAサイド地下1階~地上5階に展開する商業エリア(約1万5200平方メートル)は、施設の中心に位置する「文化創造発信の場・交流の場」となる。生活サービス店舗は、即食系を中心にそろえ店内で加工を行う「リッチデリ」も扱う「東急ストア」や、新たな試みとしてパンやサンドイッチのテイクアウトカウンターも設ける「カルディコーヒーファーム」といった店が出店。メーキャップブランド「KATE(ケイト)」初のグローバル旗艦店、サンリオキャラクターの中から不定期で「一押し」キャラクターをセレクトして発信する「Sanrio」など、日本のコンテンツ・ポップカルチャーを発信するフロアなども展開。

 4階は体験を軸にしたフロア「サクヨン」。同フロアは趣味や音楽、アートなどのカルチャーとフードを融合させることで人々の新たなつながりが生まれる場を目指す。フロア中央にはインディーゲームクリエーターの「遊び場」としてクリエーターの聖地化も目指すクリエーション拠点「404 Not Found」を開設し、イベントスペース、配信スタジオを併設。創作活動を支援するほか、クリエーター同士の共創機会を創出する。

 4階の飲食エリアは「FOOD MET」と命名し、3つのゾーンを展開。「404 Not Found」の一部として、ポップアップレストランを展開するラボキッチン「404kitchen」は、これから独立を目指す若手料理人のチャレンジをサポート。「渋谷 by STREET」は、路面店のように6店舗が並び、「一人でも、誰とでも」楽しめるような食堂街をイメージする。「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」は、8店舗で構成し、昼はフードホール、夜は複数の店のフードを合わせて楽しめるレストランのように営業。同ホール内のビアレストラン「SHIBUYA BREWERY(渋谷ブルワリー)」は、店内で渋谷発の地ビールも醸造する。

 4階には、約16万冊の在庫を置く書店「TSUTAYA BOOKSTORE」も出店。仕事やカフェ利用などができる「SHARE ROUNGE」を併設するほか、カルチュアコンビニエンスクラブが手がけるアートの社会実装を目指すカルチャー創出の場、「re-search(リサーチ)」も展開する。

 他フロアの飲食店は、地下2階にファストフードチェーン「マクドナルド」が出店し、モダンな雰囲気の店内に52席を用意するほか、1階には表参道で営業していたブランドのリバイバルオープンとなる「Bar Comfit」(ソフトドリンク550円~、アルコール880円~)がオープン。

 7階には、東急グループが運営する会員制シェアオフィス「ビジネスエアアポート」の広域渋谷圏6店舗目となる新拠点が開業。同施設内に入居するスタートアップ企業などと大学機関との産学交流、連携にも取り組んでいく予定。同フロアには、国際医療施設「SHIBUYAウェルセンター」をオープン。先端医療技術を用いビジネスパーソンや施設来館者を受け入れるほか、多言語対応のクリニックを併設する。

 渋谷サクラステージの商業テナントのうち、東急不動産の所有区画は53区画で、20店舗は現在営業中。25日に37区画が一斉オープンし、残り3店舗は年内のオープンを予定する。そのほか地権者区画の約50区画と併せて商業テナントとして約100店舗が出店する見込み。本年度中には、米マサチューセッツ工科大学の教授や産学連携プログラムと連携した「渋谷ディープテックアクセラレーター」の開設も予定している。

 複合施設「渋谷アクシュ」が今月8日に開業したこともあり、同25日からは「まちびらき」イベントを展開。駅周辺から代官山・恵比寿方面、青山方面へとそれぞれ回遊性が向上した渋谷エリアの新たな魅力発信を図る。

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